昨日に引き続き、伊藤塾塾長で弁護士の伊藤真さんのとある講演から、「消費税増税を憲法の原則から立ち返って考える」のポイントをご紹介したいと思います。(文責:サイト管理者)
<憲法とは何か>
私たちは法律に従いますが、その法律は正しいとは限りません。人間は絶対に間違いを起さないとはいえないからです。事実、戦前の日本では大本営の発表を信じ込まされ、国民みんなが戦争に加担させられました。米国でも9.11後、イラクに大量破壊兵器があると言うことを理由にイラク戦争を起しましたが、大量破壊兵器はありませんでした。このように人間は間違いを犯します。多数意見が常に正しいわけではありません。だから憲法が必要なのです。もちろん日本は民主主義国家ですから、国民多数の意見に従うことは大切ですが、多数意見でもやってはいけないこともあるのです。そのためにあらかじめ頭が冷静な時に書き留めておいたのが憲法なのです。
つまり法律は国が作って国民の自由を制限しますが、これに対し、国民の側が国のやりすぎにならないように歯止めをかける、それが憲法なのです。
<憲法の役割>
【憲法99条】では「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めています。ここでは国会議員や様々な公務員は憲法を守れと言っているのであって、我々国民に憲法を守れとは一言も言っていないのdす。国民に税金を払えというのは税法で、それがやりすぎることのないように歯止めをかける、それが憲法の役割なのです。
ですから、いくら国民の多数が決めた消費税案であっても、弱い立場の人を苦しめるものを許してはならないというのが本来の憲法の基本的な発想なのです。
<外国と比較しても税率は最高水準>
日本の現在の消費税率は5%で外国の消費税と比較すると安いといわれますがどうでしょうか。実は国税収入に占める消費税の税率は決して低くないのです。消費税率17.5%のイギリスより日本の方が、国税収入に占める割合が高いのです。これはイギリスの場合、食料品や水道代など生活に必要なものは税率がゼロなのに対し、日本は生活に必要なものにも一律に税金を課しているからで、日本の消費税率は世界最高水準なのです。
(つづく)
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