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米国の戦争体制を支える多重構造の「日米地位協定」の問題点(1)

2008年07月28日 | 国際・政治
女子中学生への性的暴行、タクシー運転手刺殺など、相次ぐ米兵の凶悪犯罪…。その背景に、米軍の特権的地位を定めた日米地位協定の問題があることが指摘されています。このほど、国際問題研究者の新原昭治氏が、都内で行った「米解禁文書に見る地位協定の構造的本質」と題した講演をもとに、同協定の刑事裁判権をめぐる問題についてまとめた記事が、2008年6月1日付け『しんぶん赤旗』に掲載されていましたので、概要をご紹介します。(文責:サイト管理者)

この中で新原氏は、1960年に日米安保条約に基づき締結された地位協定は「沖縄をはじめ日本全国に米軍基地体制が長く固定的に維持されるための非常に重大な法制」の一つで、「日本が独立国の名に値しない状況をつくりだしている」と言います。
その一例が、日本の主権行為の一環である刑事裁判から米兵を逃れさせる同協定の仕組みであり、それは米国の戦争体制を支える「三重底」「四重底」の実に巧妙な構造になっていると指摘しています。

■日米安保条約+日米地位協定+合意議事録
例えば、日本を旅行中の外国人や商社マンとして日本滞在中の外国人が罪を犯した場合、その外国人は米国人も含めて日本の法律に基づき裁かれる訳ですが、米兵の場合はそうとは限りません。
なぜなら、それは米兵が「公務中」に起こした事件・事故については、裁判権を行使する第一次の権利(一次裁判権)が米軍側にあると、地位協定では定められているからだと言います(17条3項a)。
それでは、その「公務中」の認定はどうするのかと言えば、日米合意議事録(1960年)で規定されていて、米軍指揮官が「公務証明書」を発行すれば、反証のない限り、「公務中」の十分な証拠資料になるとしています。つまり、米側が「公務証明書」を発行しさえすれば「公務中」と認められ、日本側が反証できなければ米兵の犯罪は裁けないことになるという訳です。
新原氏は、これが日米地位協定の表に出ている「表の構造」部分だと指摘しました。

■日米合同委員会の合意
また新原氏は、表に出ない部分もあると言います。その一つが地位協定の実施について協議する「日米合同委員会の合意」(原則、非公表)です。
例えば、法務省作成のマル秘資料によると日米合同委員会の合意には、車での基地外の住居と勤務場所の往復行為も「公務」となり、その際、飲酒をすれば「公務」の性格は失われるものの、「公の催事」での飲酒ならそうならないことなどを定めているとされます。
その場合、「公の催事」で飲酒した訳ですから、帰宅途中に交通事故を起こしても、「公務中」の事故ということになり、日本ではそれを裁けないことになります。こうした秘密合意はいくつあるのか分からないほどあるようです。
(つづく)

【出典】2008年6月1日付け『しんぶん赤旗』より

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