みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

散り行く桜

2006年04月11日 | 俳句・短歌
翌年(よくとし)に花開くため桜散る
(そらみみ)

雨です。満開だった桜も散ってしまうんだなぁ。
ここの季語が桜の俳句を眺めて、桜の季節を見送るとするか。

ここの現代俳句データベースの入口はこちら
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春の俳句その2(わたせせいぞう氏)

2006年04月01日 | 俳句・短歌
緑陰に嘘なきひとと口づけす
(わたせせいぞう)

白雨(ゆうだち)やひと筆描きの恋はとけ
(わたせせいぞう)

春泥をゆくチャップリン歩きして
(添削コーナー、詠み人知らず)

プーサンのリュックよちよち春の泥
(横浜市 松井伸子)

学校へ 走れば二分 春の泥
(姫路市 玉作奈々緒)

恋歌のごとく降りゐる春の雪
(茨木和生)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
・「緑陰」の句。氏のイラストを思い浮かべて味わうべし。氏によれば、俳句には省略されているが、彼女のブラウスは白色なのだそうだ。白色しかないと思うけれど・・・。今回のゲストのイラストレーター、わたせせいぞうさんは、氏のイラストそのままに爽やかな感じの方ですね。

・「白雨」の句。「白雨」で「ゆうだち」と読むんですね。もやもやが、さっと流し去られた、すがすがしい気持。もつれていても結局は一本の糸だったんだ・・・。上手い。イラストも俳句も、氏ならではの作風だ。

・「チャップリン」の句。雨で水溜りができたんだろうな。どろどろを避けて、へんてこに歩くのをチャップリンに例えるのは、上手いと思う。

・「プーサン」の句。ちいさな子供の後姿、大きなプーサンのリュックから、あんよと頭が飛び出して、よちよち歩く様子が、ほほえましい。

・「学校」の句。おそらくは中学生か高校生の女の子なのだ。田舎で、春の泥道が恨めしい。時間がない。走っていきたい、でも走って行ったら汚れる。どうしよう?と逡巡する様子が、これまた微笑ましい。

・「春の雪」の句。「降りゆく」じゃなくて「降りゐる」で、とても余韻が出てるように思う。

今回は春泥がテーマ。素人は、春といえば、花なのだけど、泥である。地面にもあまねく春は訪れる。空耳家の周りは、さほど都会というわけでもないのに、もう泥の道は残っていないなぁ・・・

(3月のNHK俳句で気に入った句でした。)
(写真は、自宅の庭より。春だ。名古屋は桜はまだ3分ぐらいで、あと一息。)
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春の句をいくつか

2006年03月26日 | 俳句・短歌
よみがへる源氏絵巻や春の色
(海老名市 浜元さざ波)

東山はんなりまろし春景色
(相模原市 後藤喜久子)

鳥の羽に見初る春の光かな
(三浦樗良)

春光や紙飛行機の宙返り
(鈴鹿市 吉田博實)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「源氏絵巻」の句。折しも、源氏物語を読み進めていて、自分の中で源氏物語が蘇っている最中だからかな?古のゆかしい春の風情がいいなぁと思った。この回の特選句でした。
「東山」の句。「はんなり」と「まろし」がひらがなで続くのが好き。語感も好き。京都、東山の春を楽しみたくなってくる。「はんなり」は「落ち着いたはなやかさを持つさま」。杉浦アナウンサーによれば「なり」にアクセントが来るみたい。
「鳥の羽」の句。「見初る(みそむる)」がいいと思った。鳥の羽ばたききの一瞬に、まだ冷気を含んだ春の光が煌く。素敵な光景だ。
「紙飛行機」の句。これも、瞬間的にキラッと輝いたんだろうな。印象に残る一瞬。普段あまり気に留めていない素敵な一瞬が17文字に凝縮されるている。俳句は面白いなぁ。

(3月のNHK俳句で気に入った句でした。)
(写真は、近くの北野天神社(江南)で。忘れられた梅の名所か。)
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(周回遅れ)睦月俳句、そらみみ選

2006年02月07日 | 俳句・短歌
 寒昴オリオンのそのちょっと先
 (甲府市 内藤 研象)

 湯気たててなんかないのという裸
 (肩甲)

 雑煮食ぶ迂闊に古希を迎へゐる
 (札幌市 江田 三峰)

 山小屋の深山流儀の雑煮かな
 (長野市 木原 登)

 すこやかな老妻ありて雑煮膳
 (岡崎市 浅いしげじ)

 七色を一色にして冬入日
 (宇治市 柴田 忠男)

 子や孫と顔くっつけて雑煮食ぶ
 (熊本市 坂田淑子)

 うぶすなにあまえて旅ぞ春の花
 (向井去来)

 高熱の鶴青空に漂へり
 (日野草城)
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「寒昴」の句。「かんすばる」のりんとした響きがいいし、大宇宙を「ちょっと先」とひょいっと言ってのける、痛快なことよ。
「湯気」の句。肩甲は芥川賞作家、長嶋有氏の俳号。裸は彼女の裸なのだそうだ。彼女が投げ掛ける「なんかないの」は、なんだか、ぞんざいな感じだけど、不思議と悪い風景じゃない。
「迂闊に古希」の句。迂闊という、気負いがなく年を重ねる感じがいい。
「山小屋」の句。山贔屓なので。昔ながらのランプの灯かりが揺れる山小屋だろうか?外は白銀の世界。雑煮、さぞかし美味しいんだろうな。「みやま」ってきれいな言葉だ。
「すこやかな」の句。とても気持ちのいい「老」だと思った。長年連れ添った妻へのあたたかい眼差しがいい。
「七色を」の句。すべてがオレンジに染まる光景。山頂で迎える御来光の光景も頭を過ぎっていた。
「子や孫と」の句。「くっつける」がいい。温かい。何のかんの言いつつ、こういう老境が理想かな?改めて保守的な我、再発見。
「うぶすな」の句。「うぶすな」は「人の生まれた土地」。新しい言葉を一つ覚えました。
「高熱の」の句。草城が病の床で詠んだ句だそうな。熱にうなされて鶴と化した作者。草城の結婚初夜をテーマにした連作「ミヤコホテル」、自分はけっこう好き。

(1月のNHK俳句で気に入った句でした。)
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ひなたぼこ、おちばみち

2006年01月15日 | 俳句・短歌
ひよこ組渡り廊下にひなたぼこ
(静岡 伊東 弥生)

日向ぼこ父の座したるその場所に
(富山 鳥島 博森)

銀杏散る平家没する日のごとく
(千葉 松本 好勝)

風船の青き鯨が夜祭の藍深みゆく天にたゆたふ
(横浜 石塚 令子)

懐かしき煙草の香り落葉径
(東京 家泉 勝彦)

椿咲く銀河のなかに銀河あり

麦秋や星を見ながら星に寝る

崑崙(こんろん)の星の夜を知る海鼠(なまこ)かな
(以上3句、五島 高資 句集「蓬莱紀行」より。崑崙は昔、中国で西方のあると信じられた伝説の山)

星空のいつくしきかも
おのづから涙あふれつ国破れたり
(北杜夫)
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「ひよこ組」の句。幼稚園だろうか?微笑ましい光景。「ひよこ」と「ひなたぼこ」の「ひ」重なりも良い。
「日向ぼこ」の句。父を懐かしむ思い、父と同じ場所で日向ぼこをする齢に達した作者の歳月の流れが、うまく詠み込まれてる。
「銀杏」の句。一気に散ってゆく銀杏と平家、上手い組み合わせ。銀杏の葉の形は、歴史を感じさせる扇の形に通じている。格調も高い。
「風船」の歌。「藍」とか「たゆたふ」という言葉に弱いのだ。夜空に浮かぶ鯨は、少しユーモラスで、幻想的でもある。青家~藍~黒の配色もきれい。
「懐かしき煙草」の句。「おちばみち」と読むのだろうか?温かくて詩情を感じる良い言葉。煙草の香りには、良い煙草の香りと嫌な煙草の香りがあるように思う。ここではもちろん良い香りの方。
「椿」「星」「崑崙」の句。解説にもあったけど、まさに「気宇壮大」。たった17文字で宇宙に挑む心意気が愉快ではないか!
「星空」の歌。どくとるマンボウ航海記の北杜夫氏が若かりし頃、終戦の折に詠まれた歌。涙に込められた万感の思いが胸を打つ。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
日曜日の日経新聞はけっこう楽しみ。川上弘美さんの、あいかわらず「まごまご」したエッセイも楽しかったけど、俳句、短歌も良いと感じるものが多かった。今日はたいへん暖かく、手の調子もいいので、久しぶりにピアノも触る。でも無理は禁物なり。
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音のイメージ

2005年11月22日 | 俳句・短歌
自転車のベルはシの音秋澄めり
(千葉市 伊澤玲)

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少し前のNHK俳句で入選していた句。そうだ、そうだ!と感心。
なるほど、自転車の凛としたベルの音には「シ」がお似合いだし、秋の澄んだ空気にも「シ」の音がピッタリ来る。

ちなみに、個人的に「ソ」は5月の青空だし、「ファ」は柔らかな4月の春の空気。「ミ」は明るい夏の色。いや「ミ」には夕焼け空が似合うかな?
という感じで、音といろんなイメージが繋がってたりする。
こういう音の感覚、自分だけじゃなかったみたいだ。

でも、実は、単純にサウンド・オブ・ミュージックの「ドレミの歌」の影響かも?(笑)

あと「ミ」と夕焼けが繋がっているのは、ミ → みかんのミ → みかんの色はオレンジ色 → オレンジ色の空は夕焼け空 だろうな。多分。(笑)

さぁ、皆さんの、音シリトリはどんな感じでしょう?
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青空のかけら・秋麗・フェルメール・銀の雲

2005年10月13日 | 俳句・短歌
木々の間の青空のかけら見上げれば夏のきらめきさらさら落ちる
(三鷹 川村友香)

秋麗の信濃や尾根を行く二人
(小平 坂田晃一)

フェルメールの町と思えば尖塔の上なる雲の銀のかそけさ
(佐々木幸綱)

春凪の波よりまだしづかなる言葉なりしがなほ聞こえつつ
(吉川英治)

先丸きえんぴつに生(あ)るる旋律の種が五線紙の大地に弾めり
(札幌市 はづきしおり)

鉛筆を削る先から香りくる未だ書かれぬ未来の匂い
(立川市 酒井景二郎)

書いて消し消して又書く鉛筆の身を削ぎて書く友への弔事
(桑名市 伊藤石英)

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「木々~」の歌、「青空のかけら」が、いい表現。「きらめきさらさら」も。
「秀麗」の句、山があるだけで、ポイントが高くなる(笑)。澄んだ空気の気持ちいい秋山が感じられる。
「フェルメール」の歌、デルフト眺望の絵からの作歌とか。
「春凪」の歌、文豪、吉川英治の十何歳年下の未来の妻への恋歌だそうな。
「先丸き」の歌、ピアノに向って作曲しているのでしょうか。音符を種と見るところが面白い。
「鉛筆を削る」の歌、鉛筆の匂いは、そう言えば、なかなかに良い匂いだった。
「書いて消し」の歌、この日の一席となった歌。感慨深い。「~又書く」までは序詞(じょことば)だそうな。

(10月上旬、日経の歌壇、俳壇、NHK短歌から)

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俳句事情2005初秋

2005年10月07日 | 俳句・短歌
このところ俳句が面白いのだ。
1年前は、ほとんど関心はなかったのだけど、急に世界が開けたように、良さが感じられるようになってきた。
好きになるきっかけはの1つは、愛聴してやまないアーティスト遊佐未森さんが、実は俳句を詠まれるということ。もう1つは、たまたま見たテレビの俳句番組で、好きな杉浦圭子アナウンサーが司会をされているのを発見して、欠かさず見るようになったことだろうか。(まぁ、ありがちな話ですね・・・。)

昼休みは、このあたりのサイトを読みながら、これはいい!とか、よく分からんなぁ、などと、もぞもぞ思いつつ、好きな俳人も、ちらほら見つかりつつあるのです。

家々や菜の花いろの燈をともし
(木下夕爾(ゆうじ))

何という、やわらかさ、あたたかさだろう。特に「菜の花いろ」がいい。難しい言葉で飾ることなく平易。ほんわりと温かくなってくる素敵な情景。今、夕爾の句集を紐解いているのだけど、ほのぼのとした自然の情景を詠んだ句が多いですね。

湯豆腐やいのちのはてのうすあかり
(久保田万太郎)

久保田万太郎は木下夕爾の師匠とのこと。この句もかなり有名なんだろうけど、やわらかさ、あたたかさ、透明感、一抹の寂しさ、希望が、ないまぜになっていていて、いいなぁと思う。まだ湯豆腐の季節までは、少し時期があるけれど、こうして美味しい湯豆腐を頂きたいものですね。

俳句が好きになって、日が浅いので、しばらくは、有名な句が多くなりそうだけど、とうぞ、お付き合い下さい。

その他の俳句のお薦めサイト
至遊さんの句あれば楽あり(よくまとまっています)
現代俳句データベース(俳人ごと、季語ごとに検索できて、便利で面白い)
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花野・汀・睡蓮・じゃんけん

2005年09月30日 | 俳句・短歌
汀(みぎわ)まで 月の道ある 花野かな
(茨木市 中村ふさこ)

星ひとつ 消え睡蓮の 花ひとつ
(京都市 小林則子)

昃(ひかげ)れば 春水(しゅんすい)の心 あともどり
(星野立子)

不器用に 突き出すグーを
しなやかな パーが包みて 勝負決まりぬ
(詠み人知らず)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
俳句は、きれいな情景が思い浮かぶ句が好み。
「みぎわ」の句、汀という言葉がいい。湖と月と秋の野原、そして一本の道。静かな美しい光景。
「睡蓮」の句もいい光景。星は明けの明星?夜明けの風景だそうな。星と睡蓮、いい組み合わせ。

「じゃんけん」の歌、不器用なグーというのは頷ける。パーをしなやかというのは、面白い感性だなぁと思う。

(NHK俳句・短歌より)
(今週は仕事が増えてきて、ブログの更新、ままならず)
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詩とデザインの合体

2005年09月24日 | 俳句・短歌
高原に 草食む牛いて われが居て
そふとくりいむの 雲近づきぬ
(東大和市 森田洋子)

日常の 有象無象(うぞうむぞう)を飲み込んで
有無を言わさず 瀑布は落ちる
(金沢市 筒井清広)

岩山に 朝の光の 出づる刻(とき)
ヨセミテの滝は 躍動始む
(カリフォルニア州 ホイラップ房子)

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たいへん面白いと思ったのが、この日出演されていた詩人、佐々木幹朗さんの「春の日の空の」の詩。
右側のT字の形は、下から見上げた飛行機。左側「わたしは~」は一人でぽつんと空を見上げる少年をイメージしているとのこと。
短歌や俳句の定型詩にはありえない自由で遊び心がいっぱいの作品。
短歌や俳句では、意味はもちろんとして、言葉自体の響き(リズム、韻、語感の統一(「な」行の音を多くして、やわらかい雰囲気を出す etc.))も大切な要素だけど(ほとんど音楽)、それに加えて、字の形までも!デザイン(美術)と詩の世界のクロスオーバー。いろんなアートが混ざり合ってのジャムセッション。面白い。

そのあとの3つの歌は、山や、のんびりした自然の風景が浮かんできて、どれもいい歌。
「高原に」の歌、なんといっても、ひらがなの「そふとくりいむ」のワンポイントがよい。個人的には美ヶ原高原ののんびりした風景が広がる。
「有象無象」の歌、選者評でもあった直球勝負でまっすぐなところ、勢い、男性的にバシっとしたところ、よし。
「ヨセミテ」の歌、いいなぁと思うのは、山頂で向かえる御来光、雲海が動き出す様子が体験としてあるから?「ヨセミテの滝」を「穂高の雲海は」とでも詠み替えたい気分。
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