子育ての期間は後から思うと僅かな時間なので、思いっきり楽しまないといけませんね。
水曜日ですから婦人科の話題を。
思うに、婦人科の症状で多いものに、「月経が不規則だ」というのが有ります。
原因が何か、というよりは放置してもいいか、治療しなくてもいいのか、
というものです。
それにお答えするには、まずなぜ月経は規則正しく28日周期で来ないといけないのかを知らないといけません。
マウスなんか4日周期で月経が来るのですからね。
女性ホルモンの司令塔は、脳みその中の視床下部というところです。
ここからゴナトロピン放出ホルモンという名のホルモンが出ていて、
これが下垂体に働きます。下垂体というのも脳にぶら下がっている脳の一部です。
下垂体からは卵胞刺激ホルモンと、黄体化ホルモンというホルモンが出ていて、
これが増えたり減ったりすることによって、卵巣に働き、
卵巣では卵胞が徐々に大きくなっていき、ついには排卵するのです。
下垂体はいろんなホルモンを出しているのですが、もう1つ月経周期に関係するのがプロラクチンです。
月経周期が狂っている方では、このプロラクチンも高くなっていることが多いです。
高いと乳汁を分泌させて、排卵を抑える方向に働きます。
ちょうど産後のようですね。たとえ妊娠していなくても。
卵巣自身からも、卵胞ホルモンと黄体ホルモンというホルモンを分泌します。
これが子宮や乳腺に働いて、子宮を毎月育て、胸も張らせるわけです。
この卵胞ホルモンと黄体ホルモンは出過ぎると、先の視床下部のホルモンを抑えますから、
うまくバランスをとっているといえるのです。
それで、なぜ月経が不規則になるか、でしたね。
若い頃に無理なダイエットをしたり、環境が変わってストレスを受けたりした時に
月経が無くなったり狂ったりするのは、視床下部が障害を受けるためです。
若い方はテレビの影響でしょうか、痩せ願望が強いのです。
どんなにガリガリであっても、まず全員が太っていると答えます。
ふくよかな方が異性にもモテる、ということを理解できないのですね。
視床下部の障害が長く続けば、なかなか月経周期は元には戻りません。
ですが、見つければすぐに治療した方が、治る確率は高くなります。
1年もほったらかしているようでは、治療しても反応しないことも有ります。
だから視床下部の調子が悪い方は早く治療するのがいいというのが結論です。
それも漢方薬なんかで、自分でホルモンを作るための刺激をするのがいいのです。
次に下垂体の障害をお話します。
それまで月経が不規則であっても、赤ちゃんを1人産めば調子良くなって、
2人目は簡単にできた、という方は多いのです。
ところが逆に赤ちゃんを産んだら調子悪くなって、2人目がなかなかできないという方も。
こういう場合は赤ちゃんを産んだために、下垂体の働きが悪くなってしまったからなのです。
そんな時は漢方薬ではダメで、外から女性ホルモンを補わないといけません。
50歳頃まで治療しないといけないことも有ります。
次に卵巣が悪い場合。
これは稀なのですが、早発閉経という病気が有ります。
普通は50歳頃に閉経するのに、20代、30代で閉経してしまうことです。
この場合も外から薬として女性ホルモンを補う必要が有ります。
そして最後になりましたが、原因不明のPCOという病気です。
原因不明の割に、とてもよくある病気です。
それも若い方に多いので、不妊の原因にもなりやすいです。
なかなか大きな卵胞は育たないのに、小さな卵胞はたくさんできるという病気です。
診察すれば超音波だけでも特徴的な所見が有りますが、
ホルモンの負荷試験をすると確定診断がつきます。
でも治療となると、放っておいてもいいんじゃないでしょうか。
ただし結婚すれば排卵誘発剤を強力にすることになります。
そうすれば結婚するまでは放っておいても、赤ちゃんはできます。
お分かりいただけましたか?
月経が不規則な方は、どうしたらいいか?
それは原因によって治療方法も異なる、という当たり前のことでした。
だから月経が不規則なら、結婚前でも、或は中高校生でも、
一度はお腹からの超音波検査を受けておかれるといいでしょうね。
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