タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

陣痛が遠のいてしまった場合

2015-04-28 20:54:38 | 産科
今、タマル産では、黄色の雲南黄梅(うんなんおうばい)が花真っ盛りです。
春一番のレンギョウだと思われるかもしれませんが、こちらの方が遅く咲きます。
タマル産の入口の横のバラのアーチの両側に一昨日のこと、
今年はこちらも黄色のモッコウバラを植えてみました。
柏原にタマル産が有った時には、建物の前に、黄色のピースというバラを植えたのです。
こちらは大輪のつるバラでした。どうも黄色のバラも私の好みだったのですね。

さて、昨日も赤ちゃんが生まれました。
少し難産だったのですが、やはりへその緒が首に巻いていたのが原因です。
みなさんはお産なんて普通に生まれるのが当たり前だと思われているでしょうが、
そんなことはなくて、大きな病院では3人に1人が帝王切開というところも多いのです。
この3人に1人、という数字ですが、
確かに私も、3人に1人は難産だなと感じています。
それがちょうど、へその緒が胎児の首に巻いているのも、
3~4人に1人と言われているのと合致するのです。

この話は先週しましたね。
もう1つ、オリジナルなことをお話ししましょう。
陣痛で入院された妊婦さんが一晩クリニックに泊まると、
陣痛が遠のいてしまうことがよく有るのです。
それで一時退院されるのですが、
また次の夜だったり、1週間も開いてからの再入院だったりすることも有ります。

一旦陣痛が来ても、遠のくというのは時々有るのですが、
こんな時はまず、臍帯巻絡なのです。
陣痛が起こる機序自体、まだ解明されていないのですよ。
もちろんどのホルモンが関与しているかは分かっていますが、
胎児が成長するとお母さんに働きかけて陣痛を起こさせるのですから、
胎児とお母さんの間には、何か伝達物質が有るのでしょうね。
早産するのはまた別の理由で、局所でのサイトカインが関与しているのでしょう。

それで、へその緒が巻いている場合はどうかと言うと、
胎児がしんどくなると、どうもお母さんに陣痛を緩めてね、とお願いするのだと思います。
だって、陣痛が一度来て、次に遠のいてしまう場合のことを続発性微弱陣痛と呼ぶのですが、
あるいは初めから弱い場合は、原発性微弱陣痛と呼びますが、
こんな時は、まずへその緒が絡んでいるのですから。
これも私くらいしか言っていませんがね。
これだけでも論文を書けるくらいです。
それに気付かないのは、病院ではお産を介助する人と、陣痛を介助する人が違うからでしょう。
もちろん助産師さんとお医者さんのことを言っているのですよ。

それで対応の仕方ですが、
一晩寝て陣痛が遠のくのなら一旦帰っていただきます。そのうち陣痛が再来するからです。
朝になっても、中途半端に弱い陣痛が有れば、そのまま放置せずに、
陣痛促進剤を使用してあげた方がいいのです。
ただ、陣痛誘発剤というと、抵抗の有る妊婦さんが多くて、嫌がられることも多いのです。
それでもお産が数日かかって、最後には帝王切開になって、たくさんの薬を使うことになるし、
次のお産も再度の帝王切開になるしで、そんなことまで考える余裕が無いのです。
だから経験豊かな医師がオススメするのですから、訊かれた方がいいと思うのですよ。

昨日も初めは陣痛誘発剤に否定的でしたが、
産まれた後には、良かったと言われていましたよ。
今日外来に来られていた妊婦さんも、前回のお産は3度目の陣痛でお産されました。
2度のダマシが有って、3度目の正直です。
3回に別れた分、最後は短い時間でお産されました。

いいことばかりお話ししましたが、
この16年間で1人だけ不幸な事故も有りました。
その妊婦さんもへその緒が巻いていることが分かっていて、
陣痛が来たものの消失してしまい、
次の朝帰られて、1週間ほどして再度陣痛が発来したのですよ。
ところがその時に子宮の中で、胎児が亡くなっていました。

だからと言って仕方のないことなのですが、
一旦陣痛が遠のいても、続けて陣痛誘発剤を使ってあげるという選択も有りますね。
ですがたいていの場合は、家に帰った方が薬を使わなくてもいいというメリットが有ります。
そこから先は予想はできないのですよ。
























































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