タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

甲状腺と不妊

2013-06-11 21:27:20 | 不妊症

久しぶりの子たちも居ますよ。でもお母さんの顔がすぐに浮かびます。
お母さんはと言えば、「ここで生まれたのよ」と説明するんだけれど、
もうすっかり忘れてるよね。
それでも子どもたちが大きくなったら、懐かしく感じてもらえることでしょう。

きょうは火曜日なのです。
火曜日は外来で言うと、予定日が近い妊婦さんが健診に来られる曜日なのです。
曜日によって、あるいは時間帯によって来られる妊婦さんの週数を分けています。
こうすることによって、異常の早期発見ができやすくなります。
というのは、1人ずついろんな大きさのお腹の妊婦さんが来られると、その都度頭の中のスイッチをリセットしないといけないからです。
同じくらいの週数の方だと、同じくらいのお腹の大きさで、同じような症状が現れます。
だから質問にだって、すぐに答えられます。
それに妊婦さん同士でも、同じくらいのお腹の人が居ると、
あれ、自分のお腹は小さいとか、大きいとか思うでしょうし、
予定日が同じくらいだと、生まれてからも、お母さん同士で友達に成り易いでしょう?
ひょっとすると小学校に上がった時に、妊婦健診で一緒でしたね、ってことにもなるかも。

それでは火曜日ですから、不妊症の検査の続きをお話しましょう。
前回でしたか、抗精子抗体という検査のお話をしました。
これと同時にタマル産の不妊外来では甲状腺の検査をよくします。
どうせ血液検査なので、一度の採血で済んだ方が痛くないですよね。

頻度は高くないのですが、稀に甲状腺の機能が低い方が居られます。
橋本病とか慢性甲状腺炎と言われる病気のために、甲状腺機能低下症が起こるのです。
甲状腺の働きが悪いと、疲れ易いとか、やる気が出ない、といった症状が出るので、
うつ病と勘違いされることもあります。

甲状腺は皆さんの首のところにある蝶々のような形をした臓器で、
触ってみると、案外触れる感触があったりします。
甲状腺の働きが落ちると、もっと働け、と頭の中の視床下部が命令をくだします。
これが甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンと言われるホルモンです。長い名前ですね。
ところがこの視床下部から出る甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンときたら、
下垂体という、これまた脳みそにぶら下がっている臓器に指令するのですが、
この時に甲状腺刺激ホルモンを出して首の甲状腺を刺激します。
と同時に下垂体からプロラクチンというホルモンの放出も同時に刺激してしまうのです。

それで、甲状腺機能低下症では高プロラクチン血症という病気も合併してしまい、
高プロラクチンは卵巣からの排卵を抑制して、月経が不規則になったりします。
あるいは排卵したとしても、卵の質が良くなくて、妊娠しても流産になる確率も上がります。
また高温期も短くなってしまい、こうなると黄体機能不全症と呼ばれます。

だから甲状腺の機能低下がないかを、不妊症の検査の一番始めにしておくのは意味が有ります。
ついでに言うと、甲状腺の機能が逆に亢進している時はどうかというと、
不妊症の原因にはならないのですが、赤ちゃんが生まれた時に、
赤ちゃんの甲状腺をやっつけてしまうことが有るので、こちらは赤ちゃんの検査が必要になります。だからどちらにしても、これから赤ちゃんを妊娠したい方は、甲状腺の検査くらいやっておいてもいいのですね。

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