お腹の中と外はツーツー

先日、宝塚に行ったときのものです。
もう、クリスマスの飾り付けをしていましたよ。
ダリア展というコーナーも有って、
係の人が写真を撮ってくださいました。
タマル産では、いつも１１月の末の祝日に飾り付けをするのです。
もうすぐクリスマスソングもかけましょう。

ところで、お腹の中って、知っていますか？
だいたいお腹って、どこでしょう？
小学校の理科の教科書には、虫の図に頭、胸、腹と書いてあります。

武士が切腹するのは、お腹の中を見せて、
自分は腹黒くない、ということを証明するのですよね。

口から喉、食道の次の「胃」がお腹という意味で使われることも有ります。
ですが発生学的には、腸管は実は身体の外という概念です。
消化管という身体の外から、腸管粘膜を通して身体の中に栄養を取り込むからです。

胃がんで胃に穴が開いた、という場合はどこに物が落ちて行くのですか？
実はお腹の中には空っぽの「袋」が有ります。その中になのです。
卵巣から毎月、排卵した卵は、この袋の中に落ちて行くのです。
あるいは子宮外妊娠と言って、卵管の中で妊娠した時に、破裂してしまうことも。
すると大出血が起こるのですが、その出血もお腹の「袋」の中に溜まります。

排卵した卵の場合は、２本の卵管がチュルチュルと吸い上げるのですね。
そこへ膣から子宮、卵管へと登って来た精子と合体するのです。
ということは、女性の場合はお腹の中の袋と膣、すなわち外界が
繋がっているのですよ。

ところで男性にもお腹の中に空っぽの「袋」が有るのですが、
その袋は外界と繋がっていない、閉鎖された袋なので、
本当に何も無いのです。
腸閉塞で腸管が破裂して、
ウンチがその袋の中に溜まってしまうということが有ります。
大学時代に、１週間泊まりに行った病院で、そんなおじいさんが居られました。

女性の場合は、袋の中と外が繋がっているので、いろんなことが起こります。
クラミジアという性感染症の場合、膣、子宮から病原菌が袋の中に入って、
肝臓の裏にまで達します。
だから胃の辺りまで痛くなることが有ります。この場合、激痛です。
ですが男性では起こりえないのです。だから症状も男性の場合は軽いのです。

今日も久しぶりに帝王切開手術をしたのですが、
お腹を切って、お腹の中に入ります。
そして袋の中からさらに子宮を切るのです。
すると赤ちゃんが生まれるのですね。
ところが、お腹の中に入らなくても帝王切開は可能です。
腹膜外帝王切開という術式です。
恥骨のすぐ上から分け入ると、お腹の袋より下で子宮に辿り着けるからです。
私も研修医の頃、この概念がなかなか理解できませんでしたけれど。

子宮内膜症という病気が有ります。
子宮の外側、つまりお腹の空っぽの袋の中側に向かって、
ブツブツができる病気です。
これに触れると痛いので、月経痛や性交痛、排便通などが起こるのです。
原因はまだまだ不明なのですが、子宮内膜症の原因の仮説として、
膣から入った化学物質が、お腹の中に辿り着いて、
そこでアレルギー反応を起こすのだ、という研究者も居られます。
私も京大病院で研究している時に、教授から、
子宮内膜症の研究を仰せつかりました。
すみません教授、いまだに解決していません。