タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

排卵日をずらす裏ワザ

2014-11-17 20:48:43 | 不妊症
今日は予告していましたように、マタニティーヨガをしてみました。
この日のために、ヨガマットも買い揃えておきましたからね。
産後のお母さんも、妊娠中の妊婦さんにも来ていただけました。
1回に、まあ9人くらいまでなら教室に入れそうですね。
心配要りません、万一人数が増えれば、クラスを分ければいいのですから。
将来的には、産後のお母さんと妊娠中の妊婦さんは分けなければいけませんね。

さて、今日、外来で受けた質問にお答えしましょう。
もちろんその場で答えているのですが、後に読み返していただければ知識が深まるでしょう。
またQ&Aは、他の方にも参考になりますからね。

体外受精をする際は、通常の排卵誘発剤の使い方とは違って、
当初は通常の4倍くらいの量の注射を連日します。
だから卵胞がたくさん育つのですよ。
たくさん採れることが目的とも言えます。
人によっては数十個も卵を採取することができることも有れば、
1個しか採れないという方も居られます。
もちろん多く採れた卵は受精させて卵割させてから凍結します。

この際、排卵誘発剤を使用して一番大きな卵胞が16から18ミリ位の大きさに育ったら、
hCGという注射に切り替えるのです。
通常なら注射後36時間ほどすると排卵してしまいます。
だからその前の注射後32時間くらいで、
排卵してしまう前に、膣からお腹の中に針を刺してさらに卵巣に到達したところで、
卵を吸引するのです。
次から次とこの作業を繰り返すのですよ。

この過程で重要なことは、hCGの注射をする前に、自然に排卵させてしまわないことなのです。
だから排卵誘発剤と一緒に、排卵してしまうことを抑制する薬も一緒に使うのです。
それは下垂体から分泌されるhCGを刺激するのが、
視床下部から分泌されるGnRHなので、それを抑制するのです。
子宮内膜症の薬として開発されたものですが、適応外で、しかも自費診療として使用するのです。
名前がややこしいでしょうが、要は、手術前の自然の排卵を抑制するということです。

この方法は、体外受精の時以外でも重宝するのですよ。
若い女性で月経周期がきっちりと28日周期なら、なんら問題は無いのですが、
40歳前後になると通常でも不規則になってきます。
だからなかなか排卵日を特定するのが難しくなってくるのです。
あるいは、ご主人がトラックの運転手で週末しか帰ってこないというカップルにも応用できます。
排卵を抑制しつつ、排卵誘発剤も一緒に使用して、卵胞を発育させます。
これなら数日は前後にずらすことができるので、排卵日を調節できるのですね。

こんな裏ワザが有る、というお話でした。