タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

古き逆子の技術は去りて

2014-11-21 21:58:57 | 産科
写真は篠山市奥原山の碧志(あおし)くん、10月19日生まれ。
「明るく元気な子に育ってください。
1人目、2人目よりも速かったです。ご飯がとてもおいしかったです。」

そうです、赤ちゃんを産むごとに、楽に産めるようになりますからね。
赤ちゃんを産むことが、気持ちよくなってくるというのですよ。

さて、寒くなってきましたから、年末が近いという雰囲気になってきましたね。
そうなると1年のまとめが頭に浮かんできます。
毎年、年初に前年お統計をホームページに掲載しているのをご存知でしょうか?
不妊症の成績と、総分娩数に対する帝王切開の割合です。

ですからまだ今年の成績はまとまっていないのですが、
私自身の感覚として、最近帝王切開になられる方は、
多くが骨盤位(さかご)が原因かな、という感じです。
世界中で、この傾向が強まっているのです。
この理由と言われるものは、実は2000年のランセットという雑誌の論文なのです。
26カ国の2183人が対象の研究によるものなのですが、
この論文が示したものが、予定の骨盤位の経膣分娩より予定の帝王切開の方が安全だというものです。
この時から一気に世界中でさかごは帝王切開となったのですよ。

ということで、さかごが帝王切開というのはわずかこの十数年の歴史しかないのです。
しかもその後、この論文が間違っているという対抗論文がたくさん出て、
2006年には、熟練した医師の指導の下では、経膣分娩も帝王切開も、その予後は変わらないとされました。
でも少し遅かったですね、既に世界中で帝王切開する風潮になってしまったのですから。

今の若い産婦人科の先生は、さかごで生まれるところを見たこともないという先生も多いのですよ。
だからどちらがいいなんて言えませんね。
おそらく私なんかの世代が、この熟練した医師という世代なのです。
産婦人科に関して西日本一と言われた天理よろず相談所病院というところで学べたことは、
私にとっては良い経験でした。
4年間すべてのさかごの主治医をさせてもらったからです。
そしてすべてのさかごの赤ちゃんは経膣分娩だったのですからね。

ただし多くの古き良き時代の伝統工芸などと同じで、もはや伝承されなくなる技術のようです。
本当は、無傷で皆さんにも産ませてあげたいのですが、
希望する女性が居なくなった、というのが実際のところなのです。

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自然とは何でしょうか。
神様が私のために、
「ため」に生きる愛をもった息子、娘が生まれたときに、
「ため」になる万物として、プレゼントをしてくださった展示品です。
鳥の声ひとつ、一株の草さえも、
愛する息子、娘たちの
生活の美化のために造られた装飾品なのです。
道に転がっている岩も、
息子、娘が国を治める主人になることを知って、
その国の装飾品として造ったのです。

   レバレンド・ムーン