竹取翁と万葉集のお勉強

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拾遺和歌集 巻1 歌番号21から25まで

2024年07月10日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻1

歌番号 21

詞書 題しらす

詠人 大伴家持

原文 者留乃々尓 安佐留幾々須乃 川末己比尓 於乃可安利可遠 比止尓志礼川々

和歌 はるののに あさるききすの つまこひに おのかありかを ひとにしれつつ

読下 春の野にあさるききすの妻こひにおのかありかを人にしれつつ

解釈 春の野に出でて餌をあさる雉が妻を請い呼び立て、己の居場所を人に知られているよ。

 

歌番号 22 拾遺抄記載

詞書 おほきさいの宮に宮内といふ人のわらはなりける時、醍醐の帝の御前にさふらひけるほとに、おまへなる五葉にうくひすのなきけれは、正月はつねの日、つかうまつりける

詠人 宮内

原文 万川乃宇部尓 奈久宇久飛寸乃 己衛遠己曽 者川祢乃日止者 以不部可利个礼

和歌 まつのうへに なくうくひすの こゑをこそ はつねのひとは いふへかりけれ

読下 松のうへになく鴬のこゑをこそはつねの日とはいふへかりけれ

解釈 松の上に鳴く鶯の声をこそ、正月の初子の日にちなんで、その言葉の響きではありませんが、初音の日と言うべきでした。

 

歌番号 23 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 たたみね(壬生忠岑)

原文 祢乃比寸流 乃部尓己万川乃 奈可利世者 知与乃多女之尓 奈尓遠飛可末之

和歌 ねのひする のへにこまつの なかりせは ちよのためしに なにをひかまし

読下 子の日するのへにこ松のなかりせは千世のためしになにをひかまし

解釈 もし、初春の子の日に行う野辺の遊びに子松が生えていなかったら、千代の命を受ける証として、何を引き抜いたら良いのでしょうか。やはり、緑美しい常緑の子松ですよね。

 

歌番号 24 拾遺抄記載

詞書 入道式部卿のみこの、子の日し侍りける所に

詠人 大中臣よしのふ

原文 知止世万天 加幾礼留万川毛 遣不与利者 幾美尓比可礼天 与呂川与也部武

和歌 ちとせまて かきれるまつも けふよりは きみにひかれて よろつよやへむ

読下 ちとせまてかきれる松もけふよりは君にひかれて万代やへむ

解釈 千歳までと命が限られている松も、今日からは君にあやかって、君と共に万歳の時を生きて経るでしょう。

 

歌番号 25 拾遺抄記載

詞書 延喜御時御屏風に、水のほとりに梅の花見たる所

詠人 つらゆき

原文 武女乃者奈 満多知良祢止毛 由久美川乃 曽己尓宇川礼留 加遣曽美衣个留

和歌 うめのはな またちらねとも ゆくみつの そこにうつれる かけそみえける

読下 梅の花またちらねともゆく水のそこにうつれるかけそ見えける

解釈 梅の花はまだ散ってはいないけれど、流れ行く水の底には、枝を離れて水面の映す花の姿が見えました。

 

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