歌番号 245 拾遺抄記載
詞書 山あひに雪のふりかかりて侍りけるを
詠人 伊勢
原文 安之比幾乃 也万為尓布礼留 之良由幾八 寸礼留己呂毛乃 己々地己曽寸礼
和歌 あしひきの やまゐにふれる しらゆきは すれるころもの ここちこそすれ
読下 あしひきの山ゐにふれる白雪はすれる衣の心地こそすれ
解釈 足を曳くような険しい山々の間に降れる白雪は、山藍でまだら模様に刷り染めた衣のように見える気持ちがします。
歌番号 246
詞書 斎院の屏風に
詠人 つらゆき
原文 与留奈良波 川幾止曽美末之 和可也止乃 尓者之呂多部尓 布礼留之良由幾
和歌 よるならは つきとそみまし わかやとの にはしろたへに ふれるしらゆき
読下 よるならは月とそ見ましわかやとの庭しろたへにふれるしらゆき
解釈 夜であったなら月だと眺めたでしょう、我が屋敷の庭の丸く選定した木の上に白妙の柔らかな布のように降り積もる白雪です。
歌番号 247
詞書 題しらす
詠人 よしのふ
原文 和可也止乃 由幾尓川个天曽 布留佐止乃 与之乃々也万八 遠毛飛也良留々
和歌 わかやとの ゆきにつけてそ ふるさとの よしののやまは おもひやらるる
読下 わかやとの雪につけてそふるさとのよしのの山は思ひやらるる
解釈 私の屋敷に降り積もる雪を眺めるにつけて、古い里の吉野の山は、もっと、雪が降り積もっているだろうと思いやられます。
歌番号 248 拾遺抄記載
詞書 屏風のゑに、こしのしら山かきて侍りける所に
詠人 藤原佐忠朝臣
原文 和礼比止利 己之乃也万地尓 己之可止毛 由幾布利尓个留 安止遠美留可奈
和歌 われひとり こしのやまちに こしかとも ゆきふりにける あとをみるかな
読下 我ひとりこしの山ちに来しかとも雪ふりにける跡を見るかな
解釈 私一人、越の国の山路に来たのでしょうか、雪が降り積もった、その山路を歩く人の足跡を眺めています。
歌番号 249 拾遺抄記載
詞書 題しらす
詠人 たたみ
原文 止之布礼盤 己之乃志良也万 於以尓个利 於本久乃布由乃 由幾川毛利川々
和歌 としふれは こしのしらやま おいにけり おほくのふゆの ゆきつもりつつ
読下 年ふれはこしのしら山おいにけりおほくの冬の雪つもりつつ
解釈 年が過ぎ行けば越の国の白山も白髪の老人のように老いてしまった、過ぎて行った多くの冬の、その季節に雪を降り積もらせながら。
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