竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻19 歌番号1344から1348まで

2024年06月11日 | 後撰和歌集 現代語訳

歌番号一三四四

原文 加比部万可利个留飛止尓川可八之个留

読下 甲斐へまかりける人につかはしける

 

原文 以世

読下 伊勢

 

原文 幾美可与者徒留乃己本利尓安恵天幾祢左多女奈幾与乃宇多可比毛奈久

和歌 きみかよは つるのこほりに あえてきね さためなきよの うたかひもなく

読下 君が世は都留の郡にあえて来ね定めなき世の疑ひもなく

解釈 長旅を行く貴方の命は、甲斐国の都留の郡、その言葉の響きではありませんが長寿の鶴のように無事でいてください、定めのないこの世ですが、次はいつ会えるかと不安に思わないでください。

 

歌番号一三四五

原文 布祢尓天毛乃部万可利个留飛止尓川可八之个留

読下 舟にて物へまかりける人につかはしける

 

原文 以世

読下 伊勢

 

原文 遠久礼寸曽己々呂尓乃利天己可留部幾奈美尓毛止女与布祢美衣春止毛

和歌 おくれすそ こころにのりて こかるへき なみにもとめよ ふねみえすとも

読下 遅れずぞ心に乗りて漕がるべき浪に求めよ舟見えずとも

解釈 船旅で都を下って行く貴方に、遅れないようにと私の気持ちは心の内に乗り、舟を漕ぐ、その言葉の響きではありませんが、貴方に恋焦がれる私の姿を浪間に探してください、遅れて追い駆ける舟が見えなくても。

 

歌番号一三四六

原文 加部之

読下 返し

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 布祢奈久者安万乃可八万天毛止女天武己幾川々之本乃奈可尓幾衣寸八

和歌 ふねなくは あまのかはまて もとめてむ こきつつしほの なかにきえすは

読下 舟なくは天の河まで求めてむ漕ぎつつ潮の中に消えずは

解釈 貴女の乗る舟が見えなくても、波間だけでなく天の川まで探し求めましょう、もし、私を恋焦がれる、その言葉の響きのように、貴女の舟が漕ぎなながらも世間の荒波の潮の中に消えてしまわないのなら。

 

歌番号一三四七

原文 布祢尓天毛乃部万可利个留飛止

読下 舟にて物へまかりける人

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 加祢天与利奈美多曽々天遠宇知奴良寸宇可部留布祢尓乃良武止於毛部八

和歌 かねてより なみたそそてを うちぬらす うかへるふねに のらむとおもへは

読下 かねてより涙ぞ袖をうち濡らす浮かべる舟に乗らむと思へば

解釈 旅立つ前から、浪雫ではなく別れの悲しみの涙で袖をひどく濡らします、憂しとなるでしょうと言う言葉の響きではありませんが、水面に浮かぶ舟に乗ると思うと。

 

歌番号一三四八

原文 加部之

読下 返し

 

原文 以世

読下 伊勢

 

原文 遠左部徒々和礼者曽天尓曽世幾止武留布祢己寸之本尓奈左之止於毛部八

和歌 おさへつつ われはそてにそ せきとむる ふねこすしほに なさしとおもへは

読下 押さへつつ我は袖にぞせき止むる舟越す潮になさじと思へば

解釈 袖を押さえて私の袖で涙河を堰止めましょう、ひどく流す涙河で舟が越えて行く潮のようにしないと思いますので。

 

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