竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

万葉集 集歌1674から集歌1678まで

2021年04月08日 | 新訓 万葉集
集歌一六七四 
原文 我背兒我 使将来歟跡 出立之 此松原乎 今日香過南
訓読 我が背子が使(つかひ)来(こ)むかと出立(いでたち)しこの松原を今日(けふ)か過ぎなむ
私訳 私の愛しい子が父からの便りの使いが来ないかと家の外に出て立つように、まだかまだかと待っていた出立のこの松原を今日は行き過ぎます。

集歌一六七五 
原文 藤白之 三坂乎越跡 白栲之 我衣手者 所沾香裳
訓読 藤白(ふぢしろ)し御坂を越ゆと白栲し我が衣手(ころもて)は濡れにけるかも
私訳 藤白の御坂を越えると、有馬皇子の故事を思うと白栲の私の衣の袖は皇子を思う涙に濡れるでしょう。

集歌一六七六 
原文 勢能山尓 黄葉常敷 神岳之 山黄葉者 今日散濫
訓読 背の山に黄葉(もみち)常敷く神岳(かむたけ)し山し黄葉(もみちは)は今日か散るらむ
私訳 有馬皇子の藤白の御坂の山は黄葉で覆われています、大和の明日香の雷丘の黄葉はもう散っているでしょうか。

集歌一六七七 
原文 山跡庭 聞往歟 大我野之 竹葉苅敷 廬為有跡者
訓読 大和には聞こえ往(い)かぬか大我野(おほがの)し竹葉(たかは)刈り敷き廬(いほり)せりとは
私訳 大和にはその評判が聞こえているでしょうか、大我野にある珍しい竹葉を刈り取って仮の宿に敷いていることを。

集歌一六七八 
原文 木國之 昔弓雄之 響矢用 鹿取靡 坂上尓曽安留
訓読 紀(き)し国し昔弓雄(さつを)し響矢(なりや)用(も)ち鹿取り靡けし坂上(さかへ)にぞある
私訳 紀の国で、昔、弓の勇者が神の響矢で鹿を取り従わせた熊野荒坂です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする