竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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万葉集 集歌1679から集歌1683まで

2021年04月09日 | 新訓 万葉集
集歌一六七九 
原文 城國尓 不止将往 妻社 妻依来西尼 妻常言長柄
訓読 紀(き)し国にやまず通(かよ)はむ妻し杜(もり)妻寄しこせね妻と言(い)ひながら
私訳 紀の国には止むことなくいつも通いましょう。仁徳天皇の妻の磐姫命皇后の御綱柏の社の故事のように、妻を御綱柏を採りに寄せ来させましょう。貴女は妻と言ひながら。
左注 一云、嬬賜尓毛 嬬云長良
訓読 一(あるひ)は云はく、妻賜はにも妻と言ひながら
左注 右一首、或云、坂上忌寸人長作。
注訓 右は一首は、或は云はく「坂上忌寸人長の作なり」といへり。

後人謌二首
標訓 後(のこる)人(ひと)の歌二首
集歌一六八〇 
原文 朝裳吉 木方往君我 信土山 越濫今日曽 雨莫零根
訓読 朝も吉(よ)し紀(き)へ行く君が信土山(まつちやま)越ゆらむ今日(けふ)そ雨な降りそね
私訳 今朝は日よりも良いようです。紀の国に行く貴方が大和と紀の国との境の信土山を今日は越えていく。雨よ降らないで。

集歌一六八一 
原文 後居而 吾戀居者 白雲 棚引山乎 今日香越濫
訓読 後(おく)れ居(い)て吾(わ)が恋ひ居(を)れば白雲し棚(たな)引(ひ)く山を今日(けふ)か越ゆらむ
私訳 後に残り居て私が貴方を恋慕っていると、彼方に見える白雲の棚引く山を、貴方は今日は越えるのでしょうか。

献忍壁皇子謌一首  詠仙人形
標訓 忍壁皇子に献(たてまつ)れる歌一首  仙人(やまひと)の形(かた)を詠めり
集歌一六八二 
原文 常之陪尓 夏冬往哉 裘 扇不放 山住人
訓読 とこしへに夏冬行けや 裘(かはころも)扇放たぬ山し住む人
私訳 永遠に夏と冬がやって来るためか、皮の衣も扇も手放さない山に住む人よ。

献舎人皇子謌二首
標訓 舎人皇子に献(たてまつ)れる歌二首
集歌一六八三 
原文 妹手 取而引与治 球手折 吾刺可 花開鴨
訓読 妹し手を取りて引き攀(よ)ぢふさ手折りわが插頭(かざ)すべく花咲けるかも
私訳 あの子の手を取って引き寄せるように捩って花の房を手折ろう。私が髪飾りに刺せば花が美しく咲くだろう。(私が少女を抱いて女にすれば、美しい乙女になるだろう。)

コメント
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