竹取翁と万葉集のお勉強

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万葉集 集歌1653から集歌1657まで

2021年04月02日 | 新訓 万葉集巻八
縣犬養娘子依梅發思謌一首
標訓 縣犬養(あがたのいぬかひの)娘子(をとめ)の梅に依せて思ひを發(おこ)せる謌一首
集歌一六五三 
原文 如今 心乎常尓 念有者 先咲花乃 地尓将落八方
訓読 今し如(ごと)心を常に念(おも)へらばまづ咲く花の地(つち)に落(ふ)らめやも
私訳 今のように気持ちを平静に保っていたのなら、人を慕う時に真っ先に咲く恋の花(乙女の体)、その恋の花を地に散らしたでしょうか。

大伴坂上郎女雪謌一首
標訓 大伴坂上郎女の雪の謌一首
集歌一六五四 
原文 松影乃 淺茅之上乃 白雪乎 不令消将置 言者可聞奈吉
訓読 松蔭(まつかげ)の浅茅(あさぢ)し上の白雪(しらゆき)を消(け)たずて置かむことはかも無き
私訳 松の木陰の浅茅の上の白雪を融け消さないで、そのまま留め置くことは出来ないでしょうか。


冬相聞
標訓 冬の相聞
三國真人人足謌一首
標訓 三國真人(みくにのまひと)人足(ひとたり)の謌一首
集歌一六五五 
原文 高山之 菅葉之努藝 零雪之 消跡可曰毛 戀乃繁鶏鳩
訓読 高山(たかやま)し菅(すが)し葉(は)凌(しの)ぎ降る雪し消(け)ぬと云ふかも恋の繁けく
私訳 高い山で菅の葉を押し靡かせて降る雪のように解けて消えると云うべきか、この貴女を慕う気持ちのときめきを。

大伴坂上郎女謌一首
標訓 大伴坂上郎女の謌一首
集歌一六五六 
原文 酒杯尓 梅花浮 念共 飲而後者 落去登母与之
訓読 酒杯(さかづき)に梅の花浮け思ふどち飲みての後(のち)は落(ち)りぬともよし
私訳 酒盃に梅の花びらを浮かべ、風流を共にするものが酒を飲んだ後は、花が散ってしまっても良い。

和謌一首
標訓 和(こた)へたる謌一首
集歌一六五七 
原文 官尓毛 縦賜有 今夜耳 将欲酒可毛 散許須奈由米
訓読 官(つかさ)にも許(ゆる)したまへり今夜(こよひ)のみ飲まむ酒(さけ)かも散りこすなゆめ
私訳 天皇は「酒は禁制」とおっしゃっても、太政官はお許しくださっている。今夜だけ特別に飲む酒です。梅の花よ、決して散ってくれるな。
左注 右、酒者、宮禁制称京中閭里不得集宴。但親々一二飲樂聴許者。縁此和人作此發句焉。
注訓 右は、酒は、宮の禁制(きんせい)して称(い)はく「京(みやこ)の中(うち)の閭里(さと)に集宴(うたげ)することを得ざれ。ただ親々一二(はらからひとりふたり)の飲樂(うたげ)を許すは聴く」といへり。此の縁(えにし)に和(こた)ふる人此の發句(はつく)を作れり。
注意 左注の「宮禁制称京中閭里不得集宴」の「宮」は、標準解釈では「官」と校訂します。ただし、校訂して「官」としますと歌の内容と左注の内容に矛盾が生じます。
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