読書日記

いろいろな本のレビュー

江戸の媚薬術  

2008-04-20 09:58:11 | Weblog


江戸の媚薬術  渡辺信一郎 新潮選書
 本書は「江戸の閨房術」「江戸の性愛術」に続く第三弾である。今回は江戸の元祖バイアグラを豊富な図版と古川柳を交えて紹介している。江戸の庶民は、性を楽しむ秘薬・惚れ薬の分野でも世界の最先端を行っていたらしい。「たけり丸」「床の海」「寝乱髪」「帆柱丸」「女悦丸」名前を聞くだけで効いてきそうな感じである。
 内容の具体的解説はできないが、江戸時代のサブカルチャーとも言うべき性の文化の奥深さは驚嘆に値する。武士が威張って庶民は小さくなって過ごしていたということは絶対ありえないことがわかる。さまざまの抑圧に苦しむ現代人から見ても、生きる喜びを謳歌している点はうらやましい限りだ。「あべこべさ長命丸で死ぬと言い」、このようなバレ句を読むとなんだかほっとする。退廃と紙一重の爛熟の美酒か。
 ところでの著者の渡辺氏は既に故人となっておられるが、経歴を見ると江戸庶民文化ならびに古川柳研究者で元都立高校校長とある。さぞかし洒脱な学校運営をされたことであろう。

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