読書日記

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白川静 松岡正剛 平凡社新書

2009-01-17 10:21:56 | Weblog

白川静 松岡正剛 平凡社新書



 一国の総理が漢字が読めない無学ぶりをさらけ出したが、本書は漢字の碩学、白川静氏の学問・思想・生涯をわかりやすく解説したもの。白川氏は長く専門の研究に没頭して、一般読者向けの著作は1970年60歳のときに発表した岩波新書の「漢字」がはじめてであった。その後は怒涛のように一般読者向けの著作を発表された。
 漢字の解説書としては後漢の許慎の「説文解字」が有名だが、漢字の先祖とされる甲骨文字を視野に入れていないというか入れることができなかった。なぜなら甲骨文字は百年前に発見されたばかりだからである。白川氏は甲骨文字の研究から入った人であるから、許慎の説明に疑義を挟む視点を持つことができた数少ない学者である。その成果は「説文新義」に表れているが、一般向きではないのが残念だ。
 白川氏のリゴリスティックなまでの研究者としての姿勢は、この国の政治家の俗物ぶりを見るにつけ、感動せざるを得ない。清貧に甘んずるとはこのことかと悟った。白川氏の漢字研究の特徴は、漢字が呪術性を持つと言うことを解明された点で、古代の社会のありようが、これによってかなり解明された。古代の王にとって漢字は権威の象徴であったのだ。それが時代を経て、民衆を抑圧する象徴として迫害されだしたのは漢字にとって不幸なことだと白川氏は言う。中国の簡体字、日本の当用漢字、常用漢字等、できるだけ漢字を使わせないという施策に結果としてなっていることは白川氏ならずとも誠に残念なことである。
 白川氏曰く、当用漢字の「当用」というのは、「当座」という意味ですよ。「まさに用ふべき」ではありません。それをなんと勘違いしたか、「まさに用ふべき」文字であるとして、義務教育の上でそれを義務づけて、間違いだらけの字を作って、変な略字を作って、説明のできないような変体の文字を作って、それを義務教育に押し付け、一般の報道機関もそれに倣った。私が新聞・雑誌に頼まれて原稿を書きましても、その通りには載せられないことがあるのです。(「桂東雑記Ⅲ」所収)この意見に私も同感だ。新聞で「拉致被害者」の「拉致」を「ら致」と書くような愚は改めるべきだ。そんな折、今日の新聞に常用漢字を191字増やすという記事が出ていた。その中に「拉」が入っていたので一安心したが、新聞の読者からも批判が寄せられたのであろう。漢字には意味があるのだ。それを大事にしないでどうする。子どもの負担を軽減するために漢字学習をいい加減にするということは、わが国の文化の衰退を招くと思う。
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1 コメント

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良い意味でため息w (家電男)
2009-01-21 03:32:18

欲しい家電買い揃えるためにはやっぱ稼がなきゃなーと思ってずっとコツコツ金貯めてたんだけどさぁ、これやってみたら一瞬で欲しかったプラズマテレビとホームシアター買えちゃったんだよねー(σ・∀・)σ
この勢いで欲しい物全部買い揃えよっとー☆
てか、こんな気持ちいいバイトすんの初めてだわーwwww

http://nPhx0KB.007ch.net/

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