At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

No Room For Squares / Hank Mobley

2007-03-06 | Hard Bop & Modal
既に当ブログでも紹介が4度目となるテナー・サックス奏者、ハンク・モブレイによる63年の2管クインテット録音盤。ブルーノートの4149番です。例の赤いジャケットで有名なDippin'の約2年ほど前に作られた本作は、ドラムのフィリー・ジョーを除くサイドメンを丸ごとチェンジした2種類のコンボ編成による演奏が2:1の比率で収められた構成となっていますが、ここでの注目は盟友Lee Morganとの2管フロントが冴える3月録音時のセッション。若干ジャズ・サンバ~アフロ・キューバン調で始まる冒頭A-1のThree Way Splitから、明快で楽しげなハードバップと言った雰囲気で良い感じに仕上がっています。そして、何と言っても本作最大の魅力はB-1のタイトル曲。以前ニコラ・コンテがモーダル・ジャズのベスト1に挙げていたというこの曲は、数あるモブレイの曲のなかでも際立ってモード色が濃い作品で、非常に聴きやすくも洗練された仕上がりを見せています。特にフィリー・ジョーの跳ねたドラミングが高揚感を煽る冒頭部、そこから雪崩れ込むように入っていく2管ユニゾンによる耳障りの良いテーマ部、そして続くモブレイ自身のソロへの流れが絶品。ついつい何度も繰り返して聴きたくなってしまうような、ある種の中毒性を持ったメロディーが小気味良いですね。モーガンやアンドリュー・ヒルのソロも当然悪くはないですが、やはりこの曲の魅力は前半部に8割が集中しているような気がします。前半部の完成度がそれほどまでに圧倒的。ちなみにバードとハンコックが参加した4月録音のセッションでは、A-3のUp A Stepがなかなか。リズム隊は正統派の4ビートを奏でているものの、フロントの2人がやや特殊なアプローチでそこにソロを乗せているので、音楽的には面白い出来となっています。まぁ何にせよ、タイトル曲1曲のためだけに買って損はしないアルバム。オリジナルはともかく、東芝EMI盤等でなら高くなく見つけられると思うので。

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2 コメント

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Unknown (yo☆ssy)
2007-03-09 02:01:21
やっぱり良いですよねー。ボクも好きです。
テーマ部からモブレーのソロパートの流れは最高です。
yo☆ssyもコレ、そのうちブログで紹介します。

ところでモブレーって生粋のジャズファンからは
評価って低いんでしたっけ?
いまだにその理由がよく分からないんですが、
そーゆー人たちの聴き方を知りたいくらいです。
『Dippin'』とか『The Flip』とかも素晴らしいと思うのですが…。
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Unknown (管理人)
2007-03-10 23:46:37
>yo☆ssyさん

モブレーの評価ってまだ低いんですかね…。何だか最近はそんな話もあまり聞かなくなって来たような気もしますが。

マイルスのコンボにコルトレーンの後釜として参加したのが理由って前にどこかで見たことがあります。

まぁ確かにマイルスとの相性という点ではコルトレーンに軍配が上がると思いますが、それって単に相性の良し悪しの問題なのではという気も…。
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