トロトラストは放射性物質の二酸化トリウムを主成分とし、
1930(昭和5)年にドイツで開発されたエックス線撮影などの造影剤。
高い有効性を示す一方、肝臓、脾臓などに沈着し、内部被ばくによってがんなどを引き起こす。
被害の深刻さから「国内初の薬害」との指摘もある。
旧厚生省は、主に旧陸海軍病院で使用されたとし、
77年度以降、傷痍軍人246人を対象に恩給増額などの支援を実施した。
一方、信濃毎日新聞の取材で、旧科学技術庁の研究所が75年度までに、
民間人105人を含む543人の症例を把握していたことなどが判明。
民間人の救済が置き去りにされた可能性が浮上している。
傷痍軍人のトロトラストの沈着や発症との因果関係を判定した国の
「トロトラスト沈着者健康管理委員会」で委員長を務めた、
信州大名誉教授の清沢研道(けんどう)医師(80)=松本市=は、
民間人への使用が相当数に上ることについて「知らなかった」と驚く。
子どもへの実験的な投与は「現在では考えられない」とし、
精神疾患の患者への投与も「なぜ造影剤の使用を必要としたか疑問」と指摘。
民間人の被害実態を含め「記録に残すことは意味がある」としている。
このような人体実験は、「生きる価値のある人、ない人」に命の選別を行う侵略戦争、すなわち
ドイツ「ホロコースト」、日本「731細菌部隊」、アメリカ「原爆投下」、
世界の「遺伝子ワクチンの特例使用」、イスラエルのジェノサイドにつながっている。
この5年間で、命を守る医療から戦争の為の医療へ転換が始まった。医療の現場から国際連帯で戦争をとめよう。