西郡の地域医療は聴診器一つで始まりました。
問診に重きを置き、訴えに対して「視診、聴診、触診に手を抜かない」をモットーに、ほとんど検査なしでやってきました。
それほどの設備がなかったということでもあります。
大きな病院では長期投与が多くなり、検査重視で、「変化」については見逃すことが多いのではないかな。地域医療の場合は、病気のこと以外の話もよくします。その人の人生、家族、職場のことなど何でも知っている関係ができています。
もちろん地域にみんな一緒に生活してきたことも重要でした。
顔見ただけで前と違うな、どっか変わったな、体重1kg増えたな、減ったなと分かるのです。
地域では、その人をいろんな職種、仲間が診ています。反対に自分も患者さんから診られているんです。「先生変わらへんね」はお世辞としても、「先生やせたん違う」はしょっちゅうです。こうしてお互いに思うことを話す事で、繋がりができ、相手をつかむことができます。
病気や健康についても、本で見た知識どおりにはいきません。ひとり一人違うわけですから。その人その人の変化を普段からつかんでいくのが大切です。
今回あらためて「ああ、地域医療やって来てよかったな。新型コロナウイルスに対しても、ここの原点は生きているな」と思います。
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