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【付利撤廃で「悪いインフレ」率アップを目論む】日銀「異次元緩和」破綻したロジックと次なる手⑤

2015-05-17 00:02:00 | 日本

(前回からの続き)

 先述のとおり、日銀当座預金残高は現時点で200兆円を超えるほどの巨大な規模に達しています。その多くは、本邦金融機関が「異次元緩和」実行中の日銀に国債を買い取ってもらって得たキャッシュ。本来なら、金融機関各社はこのおカネをもっと利ザヤの稼げる企業融資等に回したいところですが、もとよりその資金の需要がないので仕方なく(?)同口座に預けているわけです。

 とはいえ、この預金(の法定準備預金額を超える部分)には年0.1%と、ほんのわずかですが利息が付きます。その総額は200兆円の元本に対して2000億円と、それなりの金額になります。しかも足元では原油価格の低下を受けて物価が安定してきた兆しがあり、この程度の付利でも実質利回りはプラス。ということで、世界的な運用難のなか、ヘタにリスク資産に投資するくらいなら「ブタ積み」でもかまわない、と判断する金融機関も少なくなさそうです。

 でも日銀にとっては・・・建前上、同預金残高が増えるのはマネタリーベースの増加を意味するから歓迎でも、本音をいえばこれでは物足りないはず。前回までに書いたように、現在の原油安環境でもう一段のインフレを起こすためにはさらに為替レートを円安に持っていく必要があるためです。そこで、この預金を使って円安誘導を進めよう、具体的には「付利を撤廃しよう!」という発想が出てくるような気がするわけです。

 実際に付利をなくすとどうなるか? おそらく、利息を得られなくなった200兆円のうちのかなりの部分が、少しでもプラスのリターンを得ようと、米国債をはじめとするドル資産買いに回ると予想されます。このときは当然、円が売られてドルが買われるから、為替は円安になり、円建て原油価格は期待通りに(?)上昇して、「悪いインフレ」率を引き上げてくれることになるはず・・・。もちろん「物価は貨幣数量で決まる」という立場を取り続ける以上、日銀は(内心では円安原油高を喜びつつも、)表向き、このプロセスを口に出して語ることはしないでしょうが・・・。

 上記にはもっと重要な意味があります。それは、日銀当座預金に積まれたジャパンマネーによるドルの買い支えを通じた米金利上昇の阻止です。こちらの記事等に記したとおり、日銀の金融政策には、日本の金利を不自然なくらいに引き下げることで日米金利差を拡大し、マネーが日本から、FRBによる量的緩和策第三弾(QE3)を終えたアメリカ(米国債等)へ流れるように促し、これによってアメリカの金利が上がるのを食い止めよう、という目的があるのではないか、と勘繰っています。これが窺われるのが昨年10月末日の追加緩和の発動です。同日、FRBはQE3の終了を決定していますから、まあそういうことなのだ、と解釈するのが自然かと・・・。

 で、上記の付利撤廃にも追加緩和のときと同じくアメリカをアシストしようというねらいがあるでしょう。とすれば、そのベストのタイミングは・・・FRBの利上げ開始時・・・。

(続く)

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