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【リフレ派、原油価格引き上げに成功!?】日銀「異次元緩和」破綻したロジックと次なる手②

2015-05-11 00:02:30 | 日本

(前回からの続き)

 上のグラフは、2012年11月の値を100として2012年1月から今年3月までの各月のドル建ておよび円建ての原油価格(/バーレル)の推移を表したものです(WTI油価、ドル/円、ともに月平均値)。2012年11月を「100」(基準値)としたのは、以前にも書いたようにアベノミクス」が実質的にこの月に始まったといえるから。同月中旬、翌12月の衆院選を前に、当時の安倍自民党総裁(現首相)がインフレ目標年率2~3%のリフレ政策の実行を政権公約に掲げています。

 で、その原油価格ですが、それまでドル建て・円建て価格ともにほぼ同じ動きを示していましたが、この月を境に円建てがドル建てから上に向かって乖離していく様子が読み取れます。これは当然、これ以降に進んだ人為的円安ドル高のせいです。円建て価格は2013年4月の日銀の異次元緩和(≒円安インフレ誘導)開始を受けてさらに上昇し、9月に150.7と同年の最高値を記録しました。このときのドル建て数値は122.6なので、円建てのほうが23%ほど高いことになります。その後も円建てがドル建てより2割余りも割高な水準が続き、昨年6月に153.3と上記期間中のピークをつけました。ドル建て(121.4)よりじつに26%も高いレベルです。

 一方、2011年11月以降のドル建ての原油価格は、最低が同月の86.7ドル、最高が2013年8月の106.6ドルと、最低値に対して最高値が約123%と、円建ての153%よりもずっと小さな変動幅におさまっています。このあたり、いかにこの間の政策的な円安ドル高が円建て原油価格の押し上げに寄与したかが窺えるところです。

 さて、そんな展開をみせていた原油価格は2014年夏からは一転、急降下していきます。いわゆる「逆オイルショック」です。その背景等についてはこちらの記事等で綴ったので省略しますが、以降これまでの間にドル建て・円建て価格ともに大きく下落しました。

 しかし両者の下がり具合には差があります。ドル建ては昨年6月から今年3月のわずか9か月間で約55%もの急落(105.24→47.78ドル)となりましたが、円建てでは約46%とドル建てほどではありません。その大きな理由はこれまたリフレを意識した円安誘導強化。具体的には昨年10月末の日銀の追加緩和によってさらに10円ほど円安ドル高が進んだ分だけドル建て価格の低下が打ち消されてしまっています。

 それでも原油価格が短期間で大幅に下がったことには違いがありません。昨年末から年初にかけてアベノミクス開始時点の「100」を割り込み、現時点(3月)では約82となっています。で、ふつうの感覚であれば、わが国にとって直近の原油安はまことに喜ばしいことのはず。日本は原油のほとんどを外国から買っているわけだし、欧米系オイルメジャーに比肩する和製石油資本もないのだから・・・。

(続く)

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