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【債券バブル崩壊と原油価格暴落はリンクする】バブルのピークは完全に過ぎ去った②

2016-01-27 00:03:03 | 世界共通

前回からの続き)

 前回、アメリカの債券、とくにハイイールド債(ジャンク債)の「スプレッド」(米国債との利回り差)が2014年半ばを境に徐々に大きくなり、昨秋から急拡大して現在(1月下旬)はこの5年間で最大となっている様子をご紹介しました。

 で、ジャンク債の価格が下落に転じた(利回りが上昇に転じた)上記2014年の半ばというタイミングに、これまた価格急落に向かい始めた重要な国際商品があります。原油です。

 2011年以降、おおむね1バーレル100ドル前後の高値を続けていた原油価格は20147月以降、急激に下がり始めました。WTIでみると同月はじめに同100ドル台後半だった価格が同月末には100ドル台を割り込み、以降、とくに1012月までの各月では同10ドル前後も下がって2015年初頭には同50ドル前後と、わずか半年で半額になりました。昨年は秋まで5060ドル程度で推移したものの、11月以降は下落基調を強めて現在は同30ドルと、2015年初の40%安、ピーク時の1/3以下の水準・・・。まさに相場暴落時の格言「半値八掛け二割引き」を地で行く展開です。

 この原油価格の急落と冒頭に書いたジャンク債のスプレッド拡大は密接に関連しているといえます。現在、アメリカの社債市場で資金調達しているのはおもにエネルギー関連企業とくにシェールオイルの掘削や販売等を手掛けるシェール企業彼らはそれまでの高い原油価格の継続を前提とした資金繰りをしているので、原油価格が下がってしまうと一気に窮地に陥ってしまいます。そのへんの反映が原油価格下落と反比例で拡がりを続けるスプレッドということになるのでしょう。

 以前こちらの記事に世界的な「リスクオフ」はアメリカのジャンク債市場から始まるという個人的な見通しを書きましたが、現状はまさにそのとおりになりつつある感じです。実際、ブルームバーグの報道によると昨年、アメリカでは石油・天然ガス企業42社が破綻、負債総額は170億ドル超に上ったとのことです。経済制裁が解除された大産油国イランの本格的な原油市場への再エントリー、1バーレル20ドル台も取り沙汰されるほどの原油価格の下落トレンド、いっぽうで上がり続ける調達金利・・・となれば今年のシェール業者の破綻は数、負債額ともに昨年を上回るのではないでしょうか。

 さて、上記のように2014年の夏にピークを打った感じの債券と原油の価格、どうしてこの時期から両者ともに急速に下がり始めたのか、ですが、明らかにQE(量的緩和策)終了がその理由でしょう。つまり2008年以降、3回にわたって実施されてきた米FRBによるQEという名の超低金利マネーの市場への放出が201410月末をもって終わったということです。それより少し前にあたる同年の初夏から市場ではQE終了を織り込んだ動きが出てきた―――QE終了が間近い→金利が上昇へ向かう→利払い能力が低い企業の社債や金利を生まない原油等の商品は同年の夏から「売り」となった→ジャンク債・原油価格ともに急落へ―――ということかと思われます。

続く

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