本ブログで何度も綴っている心配事が間もなく(?)現実の国民的災厄になりそうです。それから身を守る方法はもはやただひとつ(?)、「金(ゴールド)」を所有すること・・・。本稿の結論は、コレです・・・(が、投資等のご判断は自己責任でお願いします)。
先日(11/30)、わたしたちの年金原資(厚生年金・国民年金)を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が今年度第二四半期(7~9月)において対前期比で7.89兆円ものマイナス運用実績となったことを発表しました。おもな運用資産のうちプラス収益となったのは国内債券(日本国債等)のみ(約3千億円)。あとの3つはすべてマイナス(国内株式[約4.3兆円]、外国債券[約2千億円]、外国株式[約3.7兆円])となっています。この間の「リスクオフ」モードで円高株安になったから、というのがその言い訳ですが・・・
「たった1四半期のパフォーマンスだけで一喜一憂するべきではない」たしかにそんな見方もあるでしょう。年金積立金の運用は長期的視点に立って取り組むべきことだからです。それでも・・・個人的には以前からの懸念すなわち年金基金のメルトダウンがいよいよ始まった・・・と身震いせざるを得ません。すでにこちらの記事を含めて何度か指摘しているとおり、GPIFが多額の評価損を今回出したリスク資産(株と外債)を過剰に、しかも最悪のタイミングで抱え込んでいるからです・・・
まずはリスク資産のボリュームです。GPIFの今回の公表資料によれば第2四半期末の各運用資産の配分比は国内債券38.95%、国内株式21.35%、外国債券13.60%、外国株式21.64%と、じつに57%近くがリスク資産―――そのときどきの市況によって価格が大きく変動する資産になっています。ということは「リスクオン」モードのときはリスク資産がもたらすリターンが大きくなって基金総額が増える可能性があるいっぽう、「リスクオフ」の際は逆に同総額が元本を大きく割り込むリスクもあるわけです・・・
そこで重要になってくるのがそれらを仕込むタイミングですが・・・「最悪」といっても過言ではないでしょう。こちらの記事に書いたとおりGPIFは、国内債券中心(配分比60%)のそれまでのポートフォリオを廃し、上記リスク資産に傾斜配分した新しい運用方針(国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%)を、よりによって昨年10月末日、米FRBがQE3終了を決めた日に発表しました。つまりこの日を境にGPIFはこの配分比達成を目指してリスク資産投資に本格的に着手したことになります。QE終了つまり世界的なリスクオンが天井を打ち、これからはリスクオフ(≒株安)に向かいますよ~というサルでもわかるターニングポイントで・・・
・・・当たり前ですがリスク資産投資はそれらが安値のとき(為替が円高外貨安のとき)つまり「リーマン・ショック」みたいなリスクオフの底のときに乗り出すべきものです。にもかかわらずGPIFは、日経平均が16413円(2014/10/31終値)、ドル/円が112円台(同)というタイミングでリスク資産に派手に手を付け始めました。それまで、そしてその後の世界経済情勢からすればこれは明らかに株高外貨高ピーク局面での「高値掴み」といえるもの。ようするにこのあと株価は下がり、ドル等の外貨は円に対して安くなる確率が高いわけです。で、GPIF・・・に上記の無茶な投資をさせた「アベノミクス」推進者もこのあたりが分かっていたから日銀「追加緩和」で不自然に円安株高を演出したつもりなのでしょうが、これって真夏に人工雪を撒くようなもの(のように自然の摂理に反すること)・・・で、その効果ははかなく雲散霧消してお約束のリスクオフへ・・・
今回のGPIFの巨大評価損は、そんなアベノミクス流リスク投資の拙劣さの反映といえるでしょう。さらに・・・いまから不気味な予想をさせていただきます。マイナス実績は今回だけ、なんて甘すぎる! これは序章に過ぎない。年金基金崩壊のステージは、これからが本番だ!?