なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

子宮留膿腫

2022年08月03日 | Weblog

 月曜日の午後に、救急外来・発熱外来を診ていた先生(大学病院総合診療科)から入院依頼があった。尿路感染症の93歳女性で、3週間前から発熱があり、食欲不振もあるので入院でという。

 認知症でアリセプトとメマリーが処方されている。手押し車を押して、少しだけ歩行できたが、発熱が続いてからは寝たきり状態となり、両側の踵に褥瘡ができていた。

 通院しているクリニックでレボフロキサシン内服が処方されていたが、効いていないようだ。キノロン耐性大腸菌だろうか。確かに尿混濁はあり膿尿・細菌尿だが、高齢女性は無症候性があるので、他疾患を否定しないと確定できない。

 救急外来に行って、血液培養2セットと尿培養をオーダーした。看護師さんがオムツを見て、帯下が付着しているという。確かに黒褐色の分泌物があった。

 胸腹部CTを確認した。肺炎像はなかった。肝胆道系にも明らかな異常はなさそうだ。尿路閉塞の所見はなかった。左下腹部に嚢種状の構造がある。子宮内に膿瘍がたまっているように見える。

 婦人科医に連絡すると、救急室に降りて来てくれた。CTを見てもらうと、溜まってますね、という。婦人科外来にストレッチャーを移動した。

 看護師さん2人といっしょに介助した(手足を押さえるだけ)。経腟エコーで子宮内の膿貯留が確認された。ネラトンカテーテルを挿入して引くと、汚い灰色の膿が30mlくらい引けてきた。そのまま培養検査に提出された。(以前に診た子宮留膿腫では大量に膿が貯留していたので、それに比べると量は少ない)

 クロマイ膣錠を挿入して終了となった。また溜まるかもしれません、と言われた。経腹エコーで確認するのは難しいかもしれない。

 抗菌薬は、婦人科医に確認してセフメタゾールで開始することにした。点滴500ml2本とセフメタゾール1日2回で治療して経過をみる。

 

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