なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

バイアスピリン中止

2022年08月10日 | Weblog

 認知症で通院している92歳男性が、6月27日に頭部打撲で救急搬入された。対応した先生(大学病院総合診療科)が外傷性くも膜下出血・急性硬膜下血腫と診断して、地域の基幹病院脳外科に搬送していた。 

 「急性期は入院で診るが、その後は転院させる」という約束?がなされての搬送だった。実際は認知症の不穏がひどく、翌日には退院になっていた。

 バイアスピリンが処方されていたので、搬送後に処方理由の問い合わせが来ていた。多発性ラクナ梗塞で処方されているが、中止可能と返事を出していた。

 脳外科の外来で短期間フォローして、最終的な返事が来ていた。「バイアスピリンを中止しているが、再開は出血性病変悪化のリスクと脳梗塞のリスクを考えて行うように」、とあった。「中止したままでよい、再開しないように」ということだろう。

 

 この患者さんはいつから抗血小板薬が処方されているのかと確認した。2003年の時点で処方されていた。今の病院ができた時なので、それ以前からラクナ梗塞に対して処方されていたようだ。両側基底核に多発性ラクナ梗塞がある。(微小出血microbleedsはなかった)

 それもバイアスピリンとチクロピジン(パナルジン)の2剤が処方されていた。当時はそういう処方があったような記憶がある。その後バイアスピリン単独となっていた。その後に当方の方に回ってきて、継続していたのだった。

 以前は、何か神経症状が疑われて、頭部CTかMRIでラクナ梗塞があると(症状を説明するものではないが)、自動的に抗血小板薬が開始されていた。

 それで転倒による大骸骨近位部骨折や硬膜下血腫が生じると、悪化の原因になってしまっていた。主要な脳血管の動脈硬化や、神経症状を説明する梗塞巣でなければ、安易に処方すべきではないのだろう。年齢も考慮すべきか。

 

 家族(娘さん)には、脳梗塞再発の可能性があるが、出血性病変悪化のリスクの方が大きいので、そのまま中止でいきますと伝えた。

 

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