なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

COVID-19患者が自宅で死亡した場合

2022年08月25日 | Weblog

 皮膚科の先生が医局員向けにメールを配信していた(院内OA)。土曜日の当直だったが、翌日曜日の午前5時に救急隊から搬入要請が入った。

 COVID-19に罹患して自宅療養していた98歳の高齢者が、自宅で心肺停止になった。(正確には呼吸してないのに家族が気づいて、救急要請して、救急隊が到着して心肺停止を確認した。)

 家族は心肺蘇生を希望していないが、受け入れ可能かということだった。受け入れて死亡確認するとして、その後の段取りがまったくわからなかったそうだ。その旨を伝えると(どうしていいかわからないということを、夢中で?しゃべった)、救急隊が「他をあたってみます」と言って話は終わったという。

 「どうすればよかったのか、今後もありうるので、ご報告します」というメール内容だった。皮膚科の先生は、日中の勤務時間には発熱外来にかかわっていない。当直の時に発熱の患者さんが受診すれば、やむなく?コロナの検査をしていた。

 

 確かに感染病棟はどこも逼迫していて、施設でクラスターが発生してもそのまま施設内で経過をみたりしている。自宅療養になる高齢者も増えている。

 さすがに超高齢者だと、コロナ対応の施設入所にしたりしているようだ。このところ連日保健所から施設入所前の外来アセスメントが依頼されて、バイタルサイン・胸部CT・血液検査の結果を報告している。(胸部X線でもいいが、当院は部屋の問題もありCT使用)

 問題なければ予定通り施設入所になり(県庁所在地とその近くに2か所あるそうだ)、入院が好ましい病状だと当院あるいは他院での入院を考慮する。

 

 亡くなった98歳の患者さんの居住地は地域の基幹病院の近くで、当院ではかかわっていないので、診断・療養の詳細はわからない。診断されたばかりで、療養先の決定前だったのかもしれない。

 皮膚科の先生は、たとえば午前7時か8時過ぎに救急隊の連絡がきていれば、当方などに連絡して対応を訊いたのだろう。午前5時なので電話するのを遠慮したのかとも思ったが、むしろ寝ているところに連絡が来て、すぐには頭が回らなかったか(ちょっとしたパニック状態)。

 

 対応としては、まず救急車で搬送してもらって、PPE着用で発熱外来のブースで死亡確認を行う。救急の看護師さんは夜間ひとりだけなので、病棟から応援をもらって(あるいは日中の勤務時間になるのを待って)、PPE着用で「COVID-19患者さん死亡時のマニュアル」通りに納体袋に収容する。葬儀社にCOVID-19患者さんの死亡として連絡して到着を待つ。ということになる。

 高齢者だとCOVID-19はきっかけに過ぎず、基礎疾患の悪化や心疾患や脳血管障害の併発で亡くなった可能性がある。しかしあえてAutopsy imagingはしないだろうから、死因としてはCOVID-19と記載するようになる。

 亡くなった患者さんは呼吸をしていないので、エアロゾルは発生しない。本当は普通の亡くなった方と同様の対応で問題ないらしい。それでも医療機関としてはフル(full)のPPE着用で対応することになる。また、納体袋に収容しないと葬儀社で扱ってもらえない。(葬儀社も通常通りにすぐに来院することはなく、相当待たされるとは思う)

 都市部だと往診でCOVID-19の診療を行うクリニックがあるので、死亡確認時にも往診してもらえるのだろう。地方の郡部ではなかなかそういうクリニックはないので、病院で対応になるか。

 

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