なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

病棟が助かるCOVID-19患者

2022年08月22日 | Weblog

 感染病棟に入院してくるのはCOVID-19の患者さんは、介護が必要な高齢者が多い。病棟の看護師さんとしては、酸素吸入なし(か低流量酸素吸入)で見られる病状で、身の回りのことができる患者さんが理想的だが、そういう患者さんは入院にならない。

 水曜日に保健所の依頼でCOVID-19の81歳男性が入院した。前日に高熱で地元の町立病院を受診して、診断されていた(おそらく抗原定性試験)。翌日朝にも高熱があり、酸素飽和度91%ということだった。糖尿病があり、食欲低下しているという。

 中等症相当の酸素吸入を要する患者さんだろう。認知症があると大変だと思ったが、来て見るとそうでもなかった。37℃台の発熱になっていた。

 認知症はなく(少なくとも問題になるようなものはない)、食事摂取は良好だった。ただしふだんよりは少ない1600Kcal で十分だという。

 胸部CTで右肺中葉にすりガラス陰影があり、下葉背側に限局性のすりガラス陰影散在がある。酸素飽和度は92~94%だが、COPDがあり、もともと若干低いらしい。

 とりあえず、食事介助は不要というだけでかなり助かる患者さんだった。病棟看護師さんの希望に近い患者さんではある。レムデシビル点滴静注を考えていたが、受診した病院からラゲブリオ内服薬が処方されていたので継続とした。

 今日は解熱して、咽頭痛や咳も軽快していた。病室(個室)から出てきてしまうので、部屋に鍵をかけていたが、それ以外は珍しく普通に会話もできるのだった。今週末には退院にできそうだ。

 

 保健所から、COVID-19 に罹患して施設療養対象の超高齢者の外来アセスメントが毎日のように依頼されている。先週も100歳の患者さんがいたが、今日も102歳女性の依頼があった。

 

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コロナの後遺症ですか?~視床梗塞

2022年08月21日 | Weblog

 8月13日(土)の日直の時に、77歳男性が左顔面と左上肢のしびれ・痛みを訴えて受診した。

 7月28日にCVID-19 に罹患して自宅静養をして、8月9日に隔離解除になったそうだ。コロナの後遺症でしょうか、という。意識清明で、脱力はなかった。ふだんは高血圧症・脂質異常症・慢性腎不全で当院の腎臓内科に通院している。

 その日はMRIの点検日で夜まで検査できない。頭部CTでは出血はなく、梗塞巣は発症2時間で指摘できない。地域の基幹病院に紹介も考えたが、麻痺がなく感覚障害だけだったこともあり、抗血小板薬を出して、週明け月曜日の検査とした。(すぐに紹介すべきだったかもしれない)

 15日に頭部MRIを行うと、予想通り右視床にラクナ梗塞を認めた。症状は同程度だった。抗血小板薬を継続して、脳神経内科の新患日(水曜日)に予約した。

 その日の午後に患者さんから連絡が来て、地域の基幹病院を受診したい、と希望された。診療情報提供書と画像を入れたCDを準備して、翌火曜日の外来予約を地域医療連携室にとってもらった。患者さんにとっては、視床痛としての痛みがひどかったのかもしれない。

 金曜日に受診結果の報告が来たが、しびれ・痛みの処方はなく、抗血小板薬が継続されていた。しばらく外来で経過をみるとあった。

 

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心原性酵素上昇

2022年08月20日 | Weblog

 木曜日に神経内科外来を診ていた先生(大学病院からバイト)から連絡が来た。ちょうど発熱外来を受診した患者さんがCOVID-19 と判明して、多系統萎縮症で通院していて肺炎もあるため入院にするところだった。

 ちょっと待ってもらってから外来行くと、患者さんは心エコー検査に行っていた。66歳男性で知的障害があり、常勤の神経内科医の外来にてんかんで通院している。

 若い大学の神経内科医が経緯を説明してくれた。患者さんは数日前から言動がおかしくなったという。意識障害というのではないようだ。息切れの訴えや浮腫はなく、神経疾患としての悪化を考慮したようだ。頭部MRIを撮影していて、特に変化はなかった。脳波検査も予定していた。

 一般的な検査として入れた方で異常があった。胸部X線でそれまでなかった心拡大を認めた。心電図はV1-4でpoor r wave progressionのように見える。明らかなST-T変化は指摘できない。

 血液検査でCK・AST・LDHが上昇していた。すでにCK-MBとトロポニンが追加されていて、その後トロポニンが65000と著明に上昇していると判明した。

 生理検査室に心エコーを見に行くと、ちょうど終わったところで、技師さん(当方の中学同級生の女性)がEFは40~50%でそう悪くないという。左室は全体的に動きが悪いように見えるが、部分的にどこの壁がというわけではない。心嚢液貯留があった。

 発熱はなかった。心筋梗塞が発症したのか、心膜心筋炎なのかわからない。神経内科の先生が地域の基幹病院循環器内科に連絡するというので、受け入れが難しい時はまた相談しましょうと伝えた。

 その後、入院したCOVID-19の患者さんの入院指示を出していた。その神経内科医から、先方の受け入れOKで送りますと報告があった。神経内科の常勤医にもきちんと報告したそうだ。真面目で誠実な先生だのだった。

 

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膵癌の進行

2022年08月19日 | Weblog

 6月21日に記載した膵癌の85歳女性。

 入院後に、点滴と尿路感染症への抗菌薬投与を行った。感染症は軽快治癒したが、食事摂取は進まなかった。CTで胃噴門部~胃体上部が腫瘤様にも見えていた。

 1週間後に上部消化管内視鏡検査を行ったが、胃癌はなかった。単純CTだとそんな風に見えてしまうのかもしれない。

 看護師さんがいろいろ食事内容を工夫したが、少量摂取にとどまった。低ナトリウム血症の問題もあり、ステロイドを入れてみたがあまり反応はなかった。

 火曜日に胸腹部CTを再検した。両側胸水が貯留していた。膵体尾部の腫瘍は2か月弱でかなり増大していた。肝転移も認めたが、入院時の単純CTでも(造影すれば)あったのかもしれない。

 

 先日ソーシャルワーカーから後見人制度のことで相談された。患者さんは一人暮らしで、独身だったので家族はない。キーパーソンは甥だけになる。

 その甥は以前から患者さんからお金を引き出していたそうだ。患者さんが亡くなれば、財産は甥が相続することになる。何か手続きがあれば頼むしかないが、あまり快く思ってはいないのかもしれない。

 甥には入院した時しか会っていないが、自分の病気のことだけ熱心に語っていた。患者さんのことについては、病院にお任せしますとだけ言っていた。

 この病状では、今さらということになってしまう。何か手続きをとるのは難しい、と伝えた。

 

 

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若いCOVID-19患者の救急搬入

2022年08月18日 | Weblog

 月曜日の午後にCOVID-19と診断された24歳男性が救急搬入された。

 別の病院のリハビリスタッフだった。その日発熱があり、病院でCOVID-19 と診断されていた(おそらく抗原定性試験)。担当した患者さんが罹患していた、と言っていたが詳細は不明。

 帰宅したが、40℃の発熱があり、過呼吸となって両手指のしびれ・こわばりがあった。診断されているので、救急隊から保健所に連絡がいったようだ。

 保健所の返事は、「救急搬送しなくてもよい、家族の車で病院を受診させてくれ」だった。それだと、時間外の受診になる時間帯になるだけで、何の変りもない。そのまま救急隊に搬入してもらうことにした。

 発熱患者さん用の部屋があるが、その隣に外来扱いのCOVID-19患者用の部屋(もともとは院内の理髪店)を作っていて、簡易的な陰圧装置(テント)がついている。

 会話は可能で過呼吸は治まって来ていたが、両手指はまだしびれるという。点滴とアセリオ注1000mg(発熱では500mgだが、1000mgにした)を行った。

 COVID-19の外来アセスメントに準じて検査を行った。呼吸困難感はあるが、酸素飽和度は正常域で胸部CTで肺炎像なかった(放射線科はすぐ隣にある)。血液検査では軽度の炎症反応上昇くらいで、問題はなかった。

 1本目の点滴が終わるころには帰れそうだった。駐車場にいた母親に、症状は軽減して帰宅とするが、もう1本点滴をするので、2時間後に迎えに来てほしいと伝えた。

 

 火曜日も発熱(38℃)と呼吸困難感を訴える30歳男性が救急搬入された。発熱外来担当の内科の別の先生が診て、抗原定性試験陽性でCOVID-19と診断された。

 酸素飽和度は正常域で、やはり外来アセスメントに準じて検査をして、肺炎はなく、炎症反応の軽度上昇のみだった。外来での点滴で帰宅として、保健所の指示待ちとされた。午後5時過ぎの搬入だったので、担当した先生は時間外まで診療していた。

 

 若いCOVID-19の患者さんが時々救急搬入されてくるが、発熱に加えて、呼吸困難感を訴えたり(酸素飽和度は正常域)、過呼吸になっての救急要請だった。

 保健所は数の限られた感染病棟を高齢者で使用したいので、若いCOVID-19の患者さんには関心がない(ようにみえる)。若い人は解熱剤で経過をみればいいじゃないか、と思っているようだ。

 

 上記の2名は地域の基幹病院の近くの方たちだが、そちらでは発熱の救急を受けたがらないようだ。重症疾患対応の病院なので、COVID-19 の患者さんが集中しても困るが(周囲の病院から搬送できなくなる)。

 感染管理の相互評価でお邪魔した時は、正面の入り口に「発熱外来は行っておりません」という看板があった。当院も公に発熱外来を行っているとはアナウンスしていない。それでも患者さんの口コミで、本来の診療圏以外でも、当院は発熱患者を診ているいうことになっているらしい。

 

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外傷性クモ膜下出血だけではない

2022年08月17日 | Weblog

 土曜日の日直の時に、腎臓内科に入院している89歳男性のことで病棟の看護師さんから診察を依頼された。

 腎臓内科外来に糖尿病性腎症・ネフローゼ症候群で通院していた。7月28日に転倒・頭部打撲した。打撲後に反応が悪くなり、地域の基幹病院脳外科を受診した。

 頭部CTで外傷性くも膜下出血を認めた。受診したのが発症4日目で止血は完成していると判断され、経過観察となった。神経脱落症状はないとされた。8月3日に腎臓内科の予約があったので、そこで相談するようにと診療情報提供書が来ていた。

 開眼はして発語もあるが、反応は悪く、食事摂取もできないので、入院となった。入院後も食事摂取はできず、点滴を継続していた。低ナトリウム血症にもなり、点滴で補正していた。輸液が多くなり、胸水貯留と無気肺を呈して発熱があった。(血清ナトリウムはむしろ高めになった)

 点滴4本を3本にして、利尿薬の静注と抗菌薬の点滴静注を行って、日曜の宿直の腎臓内科医に指示をもらうことにした。(若い腎臓内科医2名がいるが、主治医ではない先生)

 意識が悪く、ずっと食事摂取できないため、今週の月曜に頭部CTが再検された。クモ膜下出血は吸収されているが、薄い慢性硬膜下血腫のようになっていた。

 発症時のCTでも右前頭葉に脳挫傷と判断される低濃度域があるが、それがはっきりしてきて、左前頭葉にも挫傷がある。新規の脳梗塞も出現していた。

 

 確かにこれでは意識も戻らず、食事摂取も難しい。腎臓内科医は、家族と相談して今後のことを決めると言っていた。(当院向きの患者さんではある)

 

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これは尿カテーテル留置

2022年08月16日 | Weblog

 月曜日の内科新患を食事摂取困難で93歳男性が受診した。救急要請でいいと思うが、家族がやっと連れてきた。

 新患の先生(大学病院からバイト)は忙しかったので、その日来ていた別のバイトの先生(大学総合診療科)に診察を依頼した。外来で画像検査や血液・尿検査をしていたが、午後はその先生が発熱外来担当のため、診ている暇がなかったらしい。

 夕方になって、尿路感染症で入院させてほしいと連絡がきた。救急室に診に行くと、連れてきた娘さんは知っている患者さんだった。超肥満があり、糖尿病の治療を糖尿病外来に依頼して2~3年経つ。お互いに、お久しぶりなのだった。

 

 患者さんは在宅で介護を受けているが、室内は何とか歩行できたようだ。4日前から食事摂取が困難になった。土曜日に地域の基幹病院を受診したそうだが、水分を取るようにといわれて帰宅となった(発熱がなく、本人の訴えもない)。

 当院受診時も36.8℃で、発熱外来を経ずに直接内科外来受診となっていた。血液検査で炎症反応上昇があり、尿混濁を認めた。肺炎や肝機能障害がないことから、尿路感染症とされた。

 CTを見ると、両側胸水貯留があり、低蛋白血症のためかもしれないが、心機能低下もありそうだ。著明な前立腺肥大があり、膀胱壁が肥厚している。水腎症はなかった。

 培養検査の提出がなかったので、血液培養2セットと尿培養を提出した。救急外来では尿培養提出になることが多いので、尿一般沈査検査の段階で培養提出可能な採取をしている。(当方が血液培養・尿培養というので、慣れたらしい)

 感染症があるので尿カテーテル留置はどうしようかと思ったが、おそらくふだんから残尿が多い状態なので、ドレナージとして必要だろう。

 尿カテーテルを挿入して、最初のうちはそれほど混濁がなかったが、途中から膿そのものといった尿が排出されてきた。最初の尿は膀胱内の上澄み部分で、その後に下にたまった膿が出たということだった。

 何か処置をしようとすると大暴れだった。血液培養は末梢静脈からとれず、動脈から採取した。翼状針を使用して穿刺したので、シリンジを引く係が要る。看護師3人で抑えることになり、ちょうど検体を取りに来た検査技師さんにシリンジを引いてもらった。 

 看護師さんは「あら~、ちょうどいいところに」と言っていた。細菌検査担当のやさしい技師さんで、にこにこしながらやってくれた。

 尿カテーテル留置状態を嫌がるかと思ったが、入院後に病室に診に行くと、案外なじんだようだ。

 

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コロナというより普通の肺炎

2022年08月15日 | Weblog

 CareNeTVで岡秀昭先生のCOVID-19特講最新版(Ver.5)が始まっている。COVID-19では中等症まではウイルス性肺炎なので、重症でなければ抗菌薬の併用は不要といってきたが、最近は違うという。

 高齢者では、コロナ自体の肺炎というよりは、通常の肺炎(誤嚥性肺炎など)が悪化の原因になっているので、抗菌薬の投与が必要になっている。

 特にコロナの炎症期の悪化では抗炎症薬としてステロイドを使用することになっていたが、通常の細菌性肺炎にこれをすると悪化していしまうので注意するように、ということだった。

 

 先週は土曜日が日直で出ることになっていたので、金曜日は夏休み分で休みにしていた。コロナ患者の入院があれば入れてくださいといっていたが、連絡が来て89歳男性が入院になった。

 6月20日から7月10日まで肺炎で入院している患者さんだった。抗菌薬投与で軽快して退院している。8月3日に発熱で救急外来を受診していた。腎臓内科の若い先生が診て、明らかな肺炎はないとして帰宅としていた。

 胸部CTで右肺下葉背側に浸潤影が軽度にある。コロナらしい陰影ではなく、後日の放射線科の読影レポートは「誤嚥性肺炎疑い、鑑別としてコロナの肺炎」となっていた。

 土曜日に病院に来て確認すると、レムデシビルの点滴静注だけだったので、抗菌薬も追加した。週明けの今日は解熱していたが、もともと嚥下障害で経口摂取が難しくなってきている。はたして食べられるのだろう。

 

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回想編:病理学教室で研究したころ

2022年08月14日 | Weblog

 病理学教室で研究したころ

 

 平成26年5月に病理学講座の元教授T先生の傘寿をお祝いする会が開かれました。病理の先生方と、病理で学位研究を行った臨床の先生方が集まりました。私も文字通り末席を汚すという程度でしたが、3年間病理でお世話になりました。

 先生は大学定年退職後も市中病院(県内有数の)で病理診断医として活躍されました。温厚な先生で、学校の校長先生のような印象でした。「諸君は~」という言い方をされました。

 研究テーマの関係で、助教授が当方を指導をするものと思い込んだらしく(そんな話はありません)、研究についてあまり厳しく言われずに過ごしました。

 助教授のT先生は、皮肉を込めた人物評価が的確で、病理や臨床の歴代の教授の逸話は興味深いものでした。また女性の評価にも長けていて、病理標本の診かたよりも大事な?女性の診かたを教わりました。ご本人もかなりモテていたようです。

 助手のC先生は、数学的手法による研究を担当していました。マニアックで下世話な趣味が私と共通していて、昔のテレビ番組の話や、B級アイドルの写真集の話をしていました。教授が来ると慌てて話題を変えました。

 外科のS先生は、世慣れた兄貴という印象の先生でした。ある日大学病院の近くの病院から中心静脈カテーテル挿入の依頼があり、30分で仕事を済ませて戻りました。病院からの報酬3万円に家族からお礼の3万円ももらったそうで「俺は30分で6万円稼ぐ男だ」と豪語していました。

 胸部外科のY先生は、強気の先生で、納入の遅れた業者を電話口でビシビシと叱っていました。研修をした病院の看護師さんたちとスキーに行った時に、ストックが看護師さんの足に刺さり、近くの病院(県内一の病院)に搬入されました。その病院の手術のやり方が気に入らなかったので、そのまま救急車で研修をした病院(他県)まで連れて行って、自分で手術したそうです。

 呼吸器内科のE先生は、現在はその分野の権威になられました。大学院生の時は、研究熱心なあまり臨床を診る余裕がないのか、病棟から電話が来て、「え~、そんなになっちゃったの~」という声が聞こえてきました。バイオリンを弾かれ、さすが名門出身(医師一族で教授も輩出)は違うと思わせますが、宴会では隣の人の料理まで食べる方でした。

 外科のF先生は、講習会で知り合った女性医師と結婚されました(F先生はイケメン)。付き合った当初は知らなかったそうですが、後で高名な病理の教授のお嬢さんだとわかりました。初めての論文をCancerに載せるという快挙も成し遂げ、そのまま病理研究者になられました(のちに教授に就任)。

 臨床から病理に行くと、大学の剖検に病理医の助手として入ります。3年間で数10例の剖検を経験しました。印象に残っているのは、27歳女性の後腹膜腔・腹腔内出血(腎動脈線維筋性異形成の破裂)と、17歳女性のくも膜下出血(脳動静脈奇形の破裂)です。

 1年間は剖検と生検診断のお手伝いだけでしたが、そのうちに助手のY先生に連続切片の作り方やコンピュータ入力などを、手取り足取り教えてもらって、地味な作業を続けました。その甲斐あって、まったくインパクトのない雑誌ですが、何とか論文2編を載せることができました。

 学位授与式に行くと、たまたまその当時の学長はあのミスター半導体のN先生でした。有名なN先生から授与されて、ちょっと嬉しかったのを覚えています。

 

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ツイミーグ

2022年08月13日 | Weblog

  市医師会の学術講演会の座長を頼まれた。年に1回くらいで、医師会の教育担当理事は医局の先輩でもあり、断る理由もないので引き受けている。

 テーマは糖尿病の新薬「ツイミーグ」だった。今年の9月に発売1周年となり、長期処方が可能になる。製薬メーカーとしては、宣伝に力が入るところだろう。個人的には、新薬はよほど使用したい薬でなければ、長期処方が可能になってから使用している。名前は知っていたが、まだ使用したことがない。

 使用経験のない薬の講演会ということになる。大日本住友製薬改め、住友ファーマのMRさんが打ち合わせに来た。市内数か所のクリニックでは処方されているそうだ。処方している先生の方が適任でしょう、とは伝えた。

 講演会の講師が出演するWebセミナーを見てください、とセミナーの案内(とりあえず3つ)を置いて行った。火曜日に病院に残って午後7時からのセミナーまず聴いた。他のセミナーも聴く予定だ。

 グルコース濃度依存性インスリン分泌促進作用とインスリン抵抗性改善作用(骨格筋の糖取り込み能改善、肝臓の糖新生抑制)がある。ミトコンドリアを介してというが、機序についてははっきり「推定」と記載している。

 メトホルミンの改良版ということだが、DPP4阻害薬(機序が同じようで少し違う)とメトホルミンを合わせたような薬?。

 現状では、メトホルミン・DPP4阻害薬・SGLT2阻害薬が処方されて、さらにSU薬かグリニド薬も処方されていて(α-GIも)、それでも血糖コントロールができず、インスリンはいやという患者さんで追加するのだろうか。

 第一選択として、メトホルミンの代わりに最初からこれで開始というのもあるそうだ。メトホルミンと併用すると消化器症状が多いので、「メトホルミンの代わりとして使用」がわかりやすいかもしれない。

 欧州での開発だが、欧米では発売せず、日本でだけ発売されている。ミトコンドリアを介する点で使用してみないと影響がわからないので、日本人で試してみる?。あの、メトホルミンファーストで、さらにSGLT2阻害薬とGLP1受容体作動薬を使用する欧米のアルゴリズムに食い込むのは難しいのか。

 Web講演会をいくつか聴いて、9月から数人の糖尿病患者さんで使用してから、(使用初心者代表として?)講演会に臨むことになる。

 

 個人的には、SGLT1阻害などで消化管からのグルコース吸収を抑制して、これを飲んでおけば厳しい糖質制限なしでよい、というのがいいと思っている(うまく調整しないと栄養失調になる)。1錠内服で糖質20%吸収減少とか。今のところ発売されると言う話は聞かない。

 食事制限を強いることなく、これを飲めば好きなように食べていい(グルコース吸収を自由に調整)、というのが理想的だとは思う(夢の薬?)。

 

作用機序

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