なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

90歳の高血糖

2022年08月11日 | Weblog

 糖尿病で通院している90歳女性は8月初めの外来で、HbA1c11.2%・随時血糖453mg/dlと高血糖状態を呈していた。ご本人は特に困った様子はなく、自宅近くから出る本数の少ないバスで通院してきた。

 

 糖尿病・脂質異常症で外来通院していたが、2013年に四肢近位部痛が生じて、整形外科外来に数回通院していた。内科外来で症状をを聞いて、リウマチ性多発筋痛症(PMR)と診断した。

 高齢なので少なめのプレドニン10mg/日から開始して、症状は軽快した。2年間治療して中止したが、幸いに再発はなかった。

 

 経口糖尿病薬はDPP4阻害薬だけにしたいが、それだけでは高齢者としても血糖が高めだった。といって、メトホルミンもSGLT2阻害薬(痩せている)も使用しがたい。

 SU薬少量(クリクラジド20mg)を併用して、HbA1cが7%台後半になっていた。今年の2月に7.9%、5月に8.3%と上昇してきた。そして今回の11.2%となった。

 腹痛もなく、食欲も変わりなかった。腹部CTで膵癌は認めず、膵臓は脂肪置換で萎縮している。自己インスリンが低下しているのだろうと思ったが、血中Cペプチドは1.4(空腹時)と低下していなかった。(抗GAD抗体は陰性)

 そのまま入院としたかったが、一人暮らしで家の戸締りもあるというので、翌日の入院とした。翌日は、随時血糖535mg/dlだった。家に残っている外来処方を全部持ってきたが、けっこう残薬がある。きちんと内服しているわけではないようだ。

 無症状なので高浸透圧高血糖症候群とも言い難いが、酢酸リンゲルの点滴を数日行って、スケールでヒューマリンR皮下注を開始した。

 持効型インスリン(トレシーバ)を3単位から開始して、その後5単位に増量した。空腹時血糖は170mg/dlで食後血糖は200mg/dl台となってきた。

 しばらくインスリンを使用して、経口血糖降下薬だけにできればいいが、持効型インスリンは継続を要するかもしれない。インスリン自己注射はまずできないので、これを機会に施設入所に持っていきたい。

 

 

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