なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳出血

2021年02月28日 | Weblog

 金曜日に地域の基幹病院脳神経内科から脳出血の66歳男性が転院してきた。

 意識障害が遷延して見込みがないということだった。末梢用の点滴で経過をみる方針だった。開眼はしているが発語はなかった。呼びかけても視線はさまよっていて、こちらを見ない。

 もともと糖尿病でインスリン強化療法を受けていた。通院していたのは糖尿病専門医のクリニックだった。7年前に急性冠症候群となり、PCIでは対応困難で大学病院で心臓バイパス手術を受けた。予後見込みとして10年くらいと言われていた。

 また睡眠時無呼吸症候群があり、CPAPの治療をしていたが、いろいろ試したが機械と合わず、治療を中止していた。慢性腎臓病(糖尿病腎症)もある。要するに、肥満と糖尿病があり、その合併症(動脈硬化症)を次々に来した患者さんだった。

 今回は、2月6日の発症で救急搬入されていた。左視床出血で脳室内に穿破していた。一時意識が回復していたが、10日目に意識レベル低下・血圧低下があり、深部静脈血栓症から肺梗塞を来したと記載されていた。

 抗凝固薬を使用すると、今度は消化管出血を来して貧血になった。下血と記載されているので、上部か下部かわからないが、下部消化管内視鏡検査をする意義もないという記載があり、下部消化管出血(新鮮血下血、鮮血便と表現するとわかりやすい)のようだ。

 生食や乳酸リンゲルの点滴で、高ナトリウム血症となり、ナトリウム少量の輸液に変更している、とあった。血清ナトリウム177とあり、転院後の再検で166とまだかなりの高値だった。

 通常はしないが、病状が不安定すぎるので、転院後すぐに血液検査を提出した。炎症反応上昇、血液凝固異常、貧血、低蛋白血症、腎障害、高ナトリウム血症、糖尿病(HbA1c9.0%)と、異常値満載だった。頭部CTで出血はまだ残っていて、肺炎もあった。

 素朴な疑問として、脳血管障害による意識障害遷延でなければ、輸液の調整で改善する余地があるのではないか。治せるところを治せば、意識の回復する可能性はある?。

 

 

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