糖尿病と高血圧症で外来通院している77歳女性が、再来を受診した。いつもは一人で来ているADL自立・認知症なしの方だったが、今日は娘さんが付いて来ていた。ゆっくりと、そろりそろりという感じで診察室に入ってきた。
背部痛があってひどいという。整形外科クリニックを受診して胸椎圧迫骨折と診断された。整形外科クリニックからNSAIDs(セレコキシブ)内服と湿布が処方されたが、痛くてほとんど動いていないそうだ。その後から両下腿~足の浮腫も出現していた。
派手にしりもちをついた訳ではなく、ソファーからずり落ちたそうだ。腰部というよりは胸椎が曲がったいるタイプなので、胸椎に力が加わるのだろうか。
腹部も膨満していた。下腿の浮腫もあり、気になったので胸腹部CTで確認した。単に硬便が大量に貯留しているだけだった。以前の第7胸椎の圧迫骨折に加えて、今回は第9胸椎の圧迫骨折が加わっていた。
胸水が軽度に貯留しているが、心不全らしさはない。他の浮腫を来す原因もないようだ。圧迫骨折で動けなくなったこととは関係ないのだろうか。
心機能評価のため心エコー検査を行ったが、横臥した姿勢から痛くて起き上がれなくなった。夫と二人暮らしで家庭に介護力がないので、入院させてほしいという。
一般病棟に入れにくいので(現在1病棟のみに縮小)、地域包括ケア病棟を借りることにした。NSAIDsとアセトアミノフェンを併用して経過をみることにした。
病棟に外来の看護師さんが来ていて、よろしくお願いしますと言われた。この患者さんの娘に当たるのだったが、これまで知らなかった。