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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

そういう事情

2021年02月21日 | Weblog

 金曜日に地域の基幹病院救急科から77歳女性が転院してきた。自宅で倒れているところを発見されて、救急搬入となったそうだ。

 搬入時の体温29℃だったが、体外式の加温により36℃台まで回復した。昨年12月に夫が急死して、一人暮らしとなっていた。その後は認知症の進行、うつ状態となり、食事もあまりとっていなかった。

 市内に息子がいて、何かしないとまずいとは思っていたようだが、具体的には介護保険の申請もしていない。

 昨年7月に上腕骨骨折で同院整形外科を受診したが、手術は希望せずそのままになっていた。また対側の肩関節に陳旧性脱臼もあった。今回も(医師側の判断だが)そのまま経過観察となった。

 入院後に貧血となり、上部消化管内視鏡検査で多発性胃潰瘍を認めていた。胃体部小弯に浅いが広範な潰瘍が2か所と小潰瘍の多発がある。

 月曜日に転院依頼があった時の診療情報提供書に、輸血を2単位して絶食中とあった。まだ病状としては落ち着いていないようだが、今週中には転院をと、いう希望だった。

 救急医療の手助けとして希望通り引き取ることにしたが、当院の病棟の都合で(一般病棟はひとつの病棟だけで運営中)金曜日になった。転院まで少しでも日にちがあるのは助かる。

 転院時には全粥食を食べていることになっているが、看護師さんの診療情報提供書を見ても摂取量が不明だった。とりあえず、全粥刻み食を出してみたが、2割程度の摂取で点滴(500ml×2本)を週明けまで継続とした。

 抗精神薬が処方されていたが、転院後にベットから落ちたりして結局体幹抑制となってしまった。

 

 ついてきた長男に患者さんの夫のことを訊くと、当院に心肺停止で救急搬入されていた。カルテを確認すると、担当したのはよく当たる(?)外科の女性医師だった。自宅外で倒れているのを発見されての救急要請だった。搬入時の体温は19℃で、心肺蘇生にまったく反応しなかった。亡くなってからかなり経過していのだろう。

 Autopsy imagingを行うと、頭部CTでは萎縮が目立った。胸腹部CTではかなりの両側胸水貯留がある。血液検査が提出されていて、血糖487mg/dl・HbA1c11.3%と無治療の糖尿病があった。推定しかできないが、急性心筋梗塞を発症した後に心不全となっていたのかもしれない。死亡診断書の死因は心臓死で記載していた。

 認知症の程度は夫の方がひどく、患者さん(妻)が介護する形だったそうだ。夫の急死後に2か月弱で今回のエピソードに至ったことになる。介護保険申請をして、施設入所まで入院を継続するしかないが、数か月かかりそうだ。

 外科の女性医師は3月で退職して、クリニックに勤務する予定だ。院長(外科)が、手術のセンスがあるので(大きな手術のない)クリニック勤務になるのはもったいないと言っていた。(肛門科としての小手術は行うらしい)

 

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