先週の金曜日に、地域の基幹病院糖尿病科から73歳女性が転院してきた。
内科クリニックに糖尿病・高血圧症で通院していた。昨年5月に肉眼的血尿で当院の泌尿器科(非常勤)に紹介されて、腹部造影CTで左腎盂癌と診断された。がんセンターに紹介されて、腎尿管摘出術を受けていた。
その後、がんセンターでの食事指導が厳しかった?のか、退院後も塩分・カロリー制限を守ったところ、かなり体重減少してしまった。
痩せすぎたことを気にして、昨年9月に当院の糖尿病外来(大学病院から出張)に紹介された。糖尿病の治療自体には問題がなく(結果的に血糖は改善)、治療継続とされただけだった。
厭世的発言が目立ち、精神科のクリニックに紹介されて、うつ病と診断された。しかし2回受診しただけで中断してしまった。
今年の1月に、かかりつけのクリニックから、基幹病院の糖尿病科に血糖コントロールとサルコペニアの目的で紹介された。入院治療となったが、入院後に肺炎を来したり、深部静脈血栓症を併発した。
教育入院的なはずだったのが、併発症の治療ですっかり、ベット上の生活になってしまい、自宅退院できなくなった。リハビリ目的で当院に転院してきたという経緯だった。
嚥下障害で経口摂取できず、PICC挿入で高カロリー輸液が開始されていた。ただ、転院の依頼があった後に嚥下がよくなり、嚥下調整食3まで摂食できるようにはなっていた。
精神科の診察では認知症と診断されて、ドネペジルと就寝前の抗精神薬が処方されていた。転院してきた時に家族(娘)から家庭内での様子を訊くと、うつ病というよりは認知症らしかった。
ただし話をすると、うつ病と思われるような発言になる。確かに認知力も低下はしているが、抗うつ薬を試してみたくなる。
老年期うつ病は認知症と紛らわしいが、当初うつ病と思われても結局は認知症だったという経過になるようだ。