先週末に退院した新型コロナウイルス感染症の88歳男性。家族(息子の嫁)がクラスター発生した職場に勤務していて、罹患した。息子とこの患者さんは家庭内感染だった。
濃厚接触者(同居者)としてコロナのPCR検査を受けて、翌日陽性と判明した。無症状だが、高齢ということで入院を指示された。入院を拒否して、息子と一緒ならということで、親子で入院した。
入院時の血液検査で白血球6200・CRP10.9と予想外に炎症反応が高かった。胸部CTでは両側肺野にごく淡いすりガラス陰影が散在するだけだったが、炎症反応の上昇からみて、悪化してくると予想した。
入院3日目から発熱があり、370℃後半から38.3℃で推移した。酸素飽和度は下がっても95%(室内気)で、食欲は発熱があっても良好だった。
入院6日目の血液検査で白血球6000・CRP11.5と、入院時より少し増悪したが、それほどではなかった。胸部CT再検では両側肺野にすりガラス陰影が拡大していた。(放射線科の技師さんが画像を見て、「うわー」と声を上げていた。これでよく酸素飽和度が低下しないものだと思った。
発熱が続いて、入院7日目(PCR検査した日から8日目)になった。しかしPCR検査を受けた時は無症状だったので、発症日は入院3日なので、そこを発症日とすると5日目になる(デキサメサゾン投与は早急すぎる?)。
38℃の発熱があるためか、隔離入院が続いたためか、病室から出て向かいの病室に入ってしまったりした(別の患者さんがいた)。病室内をせわしなく歩いて何度か転倒した(幸い軽度の打撲程度)。
迷ったが、デキサメサゾン投与を開始した。すぐに解熱して、うろうろと歩きまわるのは少し減少した。(看護師さんは、点滴を生食ロックにしないで1日ごとの抜き差しにしていた)
入院10日目には白血球11000(デキサメサゾン投与による増加)・CRP6.4と下がってきた。入院14日目には白血球6400・CRP3.2まで下がった。胸部CTですりガラス陰影は減少したが、まだ残っている。
デキサメサゾンは規定通り10日投与で中止した。もう少し経過をみて退院にするのが好ましいとは思った。が、これ以上入院継続すると転倒・骨折したり精神的におかしくなりそうだという看護師さんの意見もあり、退院にした。
コロナの場合は退院後の外来予約は通常していないので、もし発熱や呼吸困難感があれば、外来に連絡するよう伝えた。(間質性陰影が退院後に悪化した症例もあったそうだから)
酸素吸入はしていないので、中等症Ⅰ相当になる。これでデキサメサゾンを使用しないで経過をみていたら、重症化した可能性がある。発熱が出現して、陰影が悪化した時に、レムデシベルを投与してみたかった。
この患者さんは2か所の内科クリニックから処方を受けていた。1か所からは抗不安薬のアルプラゾラム3錠分3と睡眠薬のニトラゼパムが出ていた。もう1か所からは睡眠薬のフルニトラゼパムが出ていて、さらにそれで眠らない時用にブロチゾタムが処方されていた。
急にはやめられないので、この中では一番作用時間が短いブロチゾラムは使用して、他剤は休止とした。日中のぼんやりした感じは改善したようだ。
退院時に息子さんのその辺の事情を説明したが、退院してしまえば元に戻るのだろうか(薬のことは本人に任せていて、口出ししにくいようだ)。