なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

100歳の心不全

2019年04月06日 | Weblog

 金曜日の夕方、内科医院から息切れの100歳の女性が紹介されてきた。地域医療連携室から連絡が来て、心不全か肺炎・胸膜炎を予想した。送られてきたX線では、2月の時点で胸水があり、それが今日悪化しているので心不全だった。

 血圧は130/70と保たれていて、酸素飽和度が98%(室内気)と良いが、頻呼吸がある。両下肢の浮腫が目立つ。聴診ではⅣ音を聴取するが、明らかな心雑音は(たぶん)なかった。炎症反応はほぼ陰性で、心原性酵素は正常域だった。BNPは3293と著増している。

 胸部X線・CTで両側胸水を確認した。検査技師さんに心エコーを依頼して、生理検査室に見に行った。下壁の動きが悪いが、心電図上は肢誘導は低電位だけでⅡ・Ⅲ・aVFの虚血性変化はなかった。V2-4でST上昇様の変化があるが、AMIを示唆する形ではない(心電計は非特異的と表記)。これは虚血性心不全というより心臓の老化?。

 

 循環器科医が帰らないうちに連絡して、心不全として入院でみてもらうことになった(時間外は対応していない)。ちょっと難聴はあるが、認知症はなくしっかりしている100歳だ。ラシックス注とハンプ(1000μg/日)が開始された。

 

 今読み返している研修医向けの「症例から学ぶ循環器救急疾患」(医学出版)は、研修医向けの「月刊レジデント」の特集を加筆編集した本で、当方にはちょうどいい。同じ著者つながりで「循環器・救急医のための心電図症例集」もあり、これも良書だ。初期研修医にお勧め。

 「循環器治療薬ファイル」第3版の1回目の通読が終了。実際に自分が使用する薬剤は、この中の半分にも満たないので(特に抗不整脈薬は限定した薬剤にしか手を出さない)、知識として知っておく程度になる。

 

症例から学ぶ循環器救急疾患

コメント
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