金曜日の早朝午前7時半に、前夜からの腹痛で48歳男性が救急外来を受診した。軽度の持続痛が続いて、時々強くなると訴えたようだ。嘔気もあったが下痢はない。
当直の若い先生は、下腹部に軽度の圧痛があったが腹膜刺激症状はないことから、対症療法で経過観察とした。症状が継続したり、増悪した時には再受診するようにと伝えてカルテに記載していた。
患者さんはその後午前中のうちに内科クリニックを受診した。血液検査で白血球増加(14800)を認めたことから、当院の消化器科に紹介となった。右下腹部に軽度デファンスと記載された。
腹部造影CTでは腫大した虫垂と、糞石(入口部と先端との中間に)・壁肥厚・周囲脂肪織の炎症像(dirty fat sign)を認めて、明らかな急性虫垂炎だった。外科で緊急手術になって、無事に終了した。
手術した外科の先生に訊くと、ちょうどいいタイミングで手術できたが、ちょっと遅れると穿孔して腹膜炎になるタイプだったと言っていた。
いったん別のクリニックに行ったのが病院としてはちょっと格好悪い。患者さんは当院の病棟看護師長(男性)の友人で、結果的に医療機関を行き来したことになるので、不満を言っていたそうだ。
早朝の受診の場合は、点滴と血液検査を出して、その日の診療が始まったら症状に相当する専門科を受診してもらうのがいいかもしれない。以前いた脳外科の先生は当直の時に早朝の受診があると、その日の診療が始まるのを待つように、と指示するだけだった(看護師さんが、専門の先生が来るまで待ちましょうと、患者さんを説得する)。