なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

化膿性脊椎炎

2019年04月15日 | Weblog

 内科の若い先生(内科専攻医)が診ている患者さん2名が化膿性脊椎炎と判明した。

 ひとりは急性腎盂腎炎で治療していた73歳女性で、尿培養・血液培養2セットから大腸菌ESBLが検出されていた。抗菌薬をカルバペネムに切り替えて、(いったん)軽快治癒した。

 その後、発熱・炎症反応上昇が再燃して、関節痛があることから偽痛風と判断して治療した。さらに急性腎盂腎炎が再発して、培養でまた大腸菌ESBLが検出された。再度カルバペネム投与を再開していたが、腰痛があることから胸腰椎MRI検査を行うと、腰椎に化膿性脊椎炎の所見を認めた。

 大腸菌ESBLによる化膿性脊椎炎として長期に抗菌薬投与を継続することになった。グラム陰性桿菌による脊椎炎はありうるが、頻度が少ないので、血液培養でグラム陽性球菌が検出された時に比べるとノーマークだった。

 もうひとりは82歳女性で、もともと整形外科から内科に回されたという経緯だった。足趾の外傷から関節炎を来して、整形外科に入院した。抗菌薬が開始されていたが、軽快しないために内科疾患ではないかと紹介された。

 胆嚢炎かもしれないということで、抗菌薬はゾシンに変更して経過をみていた。解熱して炎症反応も改善(CRP20から5前後へ)した。ゾシンをやめて数日たった時に炎症反応の値が停滞しているとして相談された。

 単に炎症反応の軽快が遷延しているだけか、治りきっていないのか(何が?)、よくわからない。ちょうど抗菌薬が入っていないので、培養を出してもらうことにした(整形外科入院時には提出されていない)。

 血液培養2セットからブドウ球菌(MSSA)が検出された。胸腰椎MRIで下部胸椎に化膿性脊椎炎の所見を認めた。起炎菌からは最初の外傷が原因と判断される。化膿性脊椎炎はそうそう見ないと思っていたが、(たまたまだろうが)あるものだ。こちらはMSSAなのでセファゾリンでいける。

 

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