なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

亜急性甲状腺炎

2019年04月17日 | Weblog

 先週の水曜日に34歳女性が発熱で受診して、内科の若い先生(内科専攻医)が診察した。先生が急性腎盂腎炎で診ていた患者さんですが、と相談された。

 3月30日(土)に日直をしている時に、内科医院から急性腎盂時腎炎で紹介されていた。入院治療の予定だったが、患者さんは外来治療希望だった。抗菌薬を点滴静注して、その後は抗菌薬内服とした。4月2日に再受診した時は解熱して血液・尿所見も改善していたので、抗菌薬内服を追加して、飲みきり中止としていた。

 腎盂腎炎が再燃した可能性も否定できないが、尿所見は問題なかった。咽頭痛があるような話だったが、実際は前頸部痛だった。亜急性甲状腺炎が疑われて、甲状腺エコーを行うことにした。検査室に見に行くと、甲状腺内部(左右)に不整な低エコー領域があり、同部に圧痛を認めた。技師さんにプローベで押してもらう圧痛があった。胆嚢炎のsonographic Murphy signのようなものだ。

 白血球数13400・CRP9.3と炎症反応上昇があり、意外なことに甲状腺ホルモン検査は正常域だった。破壊性に甲状腺機能亢進状態になっていてほしいところだ。

 亜急性甲状腺炎として治療することにした。ステロイド投与でもいいと思ったが、若い先生はまずNSAIDで経過をみたいという。ロキソプロフェン内服でで翌週再受診とした。抗TSH受容体抗体と抗TG抗体・抗TPO抗体の外注検査を追加した(結果的にはいずれも陰性)。

 すっかり忘れていたが、昨日思い出して検査結果を確認した。白血球数6100・CRP7.5と軽減していた。検査に血沈を入れてもらうことにしていたが、1時間値108mmと著名な亢進があった。甲状腺機能亢進を認めて(FT3・FT4上昇・TSH低下)、亜急性甲状腺炎らしくなっていた。このままNSAID継続で経過をみれそうだ。専攻医の先生には、いい症例になった。

 

 self-limitedな疾患ではあるが、症状をできるだけ軽くして過ごさせたいと考えれば、ステロイド投与になる。これまでは、プレドニン30mg/日から開始して漸減中止としていた。数年前は適当に漸減していたが、今ならば國松淳和先生推奨の5mgずつ5日おきの漸減で行う。

 

 

 

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