なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

遷延した下痢

2019年04月09日 | Weblog

 3月21日(春分の日)の日直の時に、1週間下痢が続くという訴えで46歳女性が救急外来を受診していた。

 当初は微熱・腹痛もあったようだが、受診した時に下痢だけになっていた。血便ではない。見た目は元気そうで食事摂取もできる。整腸剤で経過をみてもらうことにしたが、症状が遷延していたので、便培養検査(綿棒による直接採取)を提出していた。

 4月5日に内科の若い先生から、先生が外来で診た患者さんですが、と相談された。その患者さんは3月27日に内科外来を再受診していて、新患担当として診察したそうだ。

 血液検査では、白血球数5200・CRP0.1と炎症反応は陰性だったが、長引く下痢で血清カリウムが2.2と低下していた。心電図で不整脈はないが、T平減高・U波ありの所見だった。腎機能障害はない。腹部CTで確認したが、小腸の液貯留が多少目立つかもしれないが、大腸に異常は指摘できなかった。感染性腸炎以外は考えにくい。

 便培養は陰性ですといわれたが、便培養の結果をみると、Escherichia coli 025とあった。血清型からは下痢原性大腸菌になる。確かに大腸菌というだけの記載なので、病原性ではない(便中の大腸菌は常在菌)と勘違いしたらしい。大腸菌は血清型(O抗原・H抗原)が病原性に関連している。

 下痢自体は治まってきていたが、低カリウム血症の治療目的で入院になった。カリウム製剤を点滴(1日だけ)と経口剤で開始して、3日後に血清カリウム3,2まで戻ったところで退院になった。

 細菌検査室の技師さんのその経緯を伝えた。通常は便培養で病原菌が検出されるとその段階で報告が来るが、今回はなかった。培養結果に病原性と入れるのはできないそうで、報告を徹底しますという。外来だと患者さんが再受診しない場合には、提出したままで結果をみていないことがある。

 放射線科の読影レポートを提出した臨床医が見ないことが問題になっていた。検体検査でも、外注検査や培養などその日に結果がでないものだと、結果を確認していないことがあり注意が必要だ。 

 

 

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