なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大学病院からの紹介~IgG4関連疾患?

2016年10月06日 | Weblog

 昨日東京の大学病院リウマチ膠原病科からの紹介で、74歳女性が転院してきた。5月に外耳道の腫瘤で精査されて、IgG4関連疾患と診断されたそうだ。プレドニン投与で改善したが、漸減により再燃した。その診断で合わない点もいくつかあり、悪性腫瘍が疑われて、国立がんセンターにセカンドオピニオンを求めたという経緯だった。髄膜炎を併発して抗菌薬を投与されたりした。

 患者さんは独身で、東京では友人と暮らしていたそうだ。何かあるたびに当県の弟さんが呼ばれて、東京への往復を繰り返すのは大変だということで、結局弟さんのいる当県に来ることになった。県内の有数の病院を何か所か当ったらしいが、当面は入院治療継続という依頼のためもあり、受ける病院がなかった(弟さんから聞いた話で紹介状には当然その記載はない)。それで、弟さんの住所から一番近い当院に転院依頼が来た。紹介状をみると、何だか当院では手におえないと思われたので、弟さんにその旨を伝えると、自分もそう思うと言われた。病状が悪化した際には、DNRの方針となっていたこともあり、とにかく引き受けてもらえれば結果は問わないと言われた。

 介護タクシーを雇ってという話もあったが、小康状態となり、介助で少し歩行できるので新幹線で連れてくることができた。食事も嚥下調整食だが、自分で食べられた。このまま安定すれば退院できそうに見えた。といって、弟さん宅に引き取ることも難しいようで、施設に申し込まなければならない(介護認定は受けていた)。

 CTで確認すると、確かに右外耳道から頭蓋骨が楠部腫瘤によって壊れている。こんな部位のIgG4関連疾患もあるのか。プレドニンは10mg/日で継続することにした。この方は肺病変もあり、気管支拡張と両側肺野に粒状影が散布していて、びまん性汎細気管支炎の病名も付いていた。

 (後日記) 当院入院後は、特に問題なく、自由に病棟を歩いていた。入院した日から「東京に戻りたい、こっちに来る気はなかった」と言っていた。予想よりはるかに元気なので、こちらで施設入所させようとしていた弟さんも東京に戻ることに同意した。東京で同居していた友人とまた一緒に暮らすそうだ。結局約3週間の入院で東京に戻った。紹介元のJ医科大学病院に報告書を書いて持たせた。

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