2週間前に、90歳男性が腹痛で救急外来を受診した。この方は5月に食欲不振・嘔吐で内科に入院した。重度の貧血があり、胃癌による幽門狭窄と判明した。外科医と相談してバイパス手術を予定していたが、さらに感染巣不明の発熱もあり、結果的には感染性心内膜炎だった。抗菌薬投与して、なんとか胃空腸吻合術にこぎつけた。
術後経過は良好で退院可能となった。普通はそのまま外科で経過をみるが、心内膜炎の問題があり、内科外来で経過をみることになった。月に1回内科外来に通院していたが、畑仕事をしているという元気さだった。
早朝に腹痛で受診した時は、外科医(手術した外科医ではない若い先生)が当直だった。腹部X線・CTで腹腔内に大量の空気が漏れていて、胃癌の穿孔と判断された。家族と相談して、保存的に経過をみることになった。手術をした時に、3~6か月くらいもてば、という話になっていたので、家族もその方針に同意したそうだ。
入院後、経過は良好だった。再検しても腹腔内の空気はあまりかわらなかったが、ガストログラフィンで造影すると、漏れはなかった。穿孔部位は不明ということになる。担当医は何かが(たぶん大網)うまく覆ってくれたのではないかという。全粥食を食べても問題がないので、「退院させますから、また内科外来でお願いします」、と言われた。何で丈夫なんだろう。