今週の火曜日に69歳男性が、内科外来に挨拶に来た。今年の4月末から5月の初旬まで入院していた患者さんだった。肝門部胆管癌で大学病院に紹介していた。早くに見つけてもらってと感謝されて、こちらに戻ることがあれば、またよろしくお願いしますと言って帰って行った。自覚症状がない時点での診断だが、根治可能ということにはならないのが、残念なところだ。(5月10日記載)
内科医院を受診して、インフルエンザA型と診断された。処方を受けて帰宅したが、その後症状が増悪して、自宅敷地のビニールハウス内で倒れているのを家族に発見されて、救急搬入された。もともとCOPDがあった(自覚はしていないが、画像で明らか)。細菌性肺炎を併発していた。ラピアクタ点滴静注とセフトリアキソンで開始したが、酸素飽和度がなかなか上がらず、レボフロキサシンを併用したりして、やっと治った。
たまたま写った画像で、肝門部胆管癌が疑われて、造影CTを追加した。胆道癌を示唆する腫瘍マーカーも上昇していた。すぐに大学病院消化器内科の予約をとって、当院退院後に受診してもらった。受診時には黄疸が進行して、そのまま入院になったと返事が来ていたが、その後は特に報告は来ていない。
年齢的には全部お話するしかないので、大学病院紹介を勧めて、難しい部位の癌が疑われると説明していた。その時に、「引退後(農家の仕事)の楽しみを考えていたが、もうなくなるのか」と言っていたのが印象的だった。
大学病院に入院して、胆道ステントを挿入して、化学療法になったそうだ。現在は大学病院の腫瘍内科に通院して、外来化学療法を受けている。担当の先生は良く効いていると言っているという(本人の話だが、実際そうなのだろう)。当院入院時よりやせてちいさくなっていた。今のところ日常生活に支障がないので治癒すると思っているのか、それともそのうちに悪化することを覚悟しているのか。