なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

当院では対応しかねます

2016年10月09日 | Weblog

 消化器科医と事務がもめていた。消化器科外来に通院している65歳男性のことだった。アルコール性肝硬変による食道静脈瘤破裂で何度か消化器科に入院している。食道静脈瘤硬化療法・結紮術をその都度受けていた。その間禁酒はできず、消化器科医は良く助けてきたものだと感心する。入院した時は重症でぐったりしているが、ある程度回復すると問題を起こすが、すぐに退院するので大きな問題?にはならなかった。名前を聞くと職員から溜息がもれる方ではあった。

 今回は転落による足の骨折で整形外科に入院していた。治療は保存的に行われ、リハビリをしていた。病棟からいなくなってしまったり(敷地外へ行くのだろう)、何かと問題はあった。リハビリなので入院がこれまでの入院より長かった。骨折以外は元気でもあった。そのうちに看護師さんに対する暴言が続き、殴りかかろうとしたり、松葉杖を振り回して暴れた。家族に事情を説明して、いったん外泊として、結局そのまま退院となった。

 看護師さんたちがすっかり怖がってしまい、今後とても対応できないという。当院としてはもう診れないと患者さんに伝えることになった。なったが、消化器科外来の予約があった。誰が当院で対応しかねますと伝えるかという問題で、消化器科医と事務がもめていたのだった。結局事務方から患者さんにその旨を連絡することになった。後で訊くと、了解したそうだ。

 この方は、地域の基幹病院をはじめ、他の病院でも対応しかねますということになっていた。普段の病気を考えると、県内の半分の地域に及んでしまう。

 対応しかねますは、自主的に受診をお控え下さいなので、もう診ませんではない。診療拒否はできないので、当然受診したら診なければならない。その時は事務方・警備の職員が集まることになるらしい。

 警察に連絡するとたぶん来てくれるが、犯罪を犯さないと手出しできないので、基本的には何か起こるまで後ろで見ている。器物を壊したり殴ったりした時からの対応になる。前にいた病院で聞いた話だが、バットを持った患者さんがある先生を追いかけまわしたが、警察官はその後ろを追いかけるだけだったという(バットで殴るのを待つだけ)。

 大学病院の指導医が、他の医師にハサミを振り上げられたことがある。そういう問題に詳しそうな法医学教室に相談に行った。すると、背中を刺されるのがよいと言われたそうだ。前から刺されると、向かっていったので、それに対抗して行ったという解釈もできる。後ろからだと、逃げたところを追いかけて刺したことになり、明らかに刺した方が悪いと判定される。上から振りかぶって刺すと、感情的になっての行為で罪は軽くなり、水平に真直ぐに刺すと、冷静に計画的に刺したことになって罪が重いという。そんなこと聞きたかったんじゃない、と怒っていた。要するに、何かされてからじゃないと犯罪になりませんということ。

 

 

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