午後6時という時間は、一般に夕方に分類される。といっても夏という季節においては、未だ太陽は西の空を煌々と照らし、昼間と変わらない明るさとうだるような暑さを世界にもたらしていた。とはいえ、その太陽の熱光線も文明の利器の前には無力なようで、冷房の良く効いた部屋の中には影響を及ぼせないようだった。
輝(きらら)は広げていた紙束や筆記用具をかき集めひとところにまとめていた。もうすぐ試験期間だというのだがこの部屋には彼女を除いて誰もいない。大学の一番端の校舎のさらに端にあるこの教室は、その立地の悪さから滅多に人が来ず、人の少ないところを好む彼女にとっては格好の隠れ家的な勉強場所であった。
──ふと、廊下の方からドタドタとした足音が聞こえる。またか、と輝は眉をしかめた。この教室には、授業で使われる時を除いて人は全く来ない。授業で使われる時も、生徒はおろか教授さえ顔を顰め文句を言う、そのレベルの立地の悪さを持つ教室なのだ。彼女はそんな教室だからこそ、ここを半ば根城としていたのだ。そして、そんな教室にわざわざやってくる人間など、自分自身を除いたら心当たりなど一人しか考えられない。それは──
「先輩、やっぱりここにいたー!」
わざわざ私を探してここまでくる、この後輩、夕華(ゆうか)だった。
「せーんぱい、遊びましょうよ、勉強ばっかして疲れちゃったでしょー」
夕華は輝に懐いているのかなんなのか、よくこの輝の根城にやってきては遊びに誘って(そして半ば強引に付き合わせて)いた。輝は、夕華は少し苦手だ、と思った。自分のプライベートな部分に自然と入り込んでかき乱していくその無遠慮さが、輝には苦痛だった。
「はぁ……見てわからないの?いま私片付けて帰ろうとしてたんだけど」
「いいじゃないですかぁー、いろいろ遊べるもの持ってきたんですよー?」
輝のため息交じりのやんわりとした拒絶意志をのらりくらりとかわし、やたらと大きなカバンからごそごそと幾つかの箱を取り出してくる夕華。
「これはストーンエイジってゲームですねー。石器時代の暮らしを体験するみたいなゲームで、資材とかを集めて家とか人を増やして、得点を伸ばすゲームです。得点を伸ばすと言ってもいろんな方法があって、家をいっぱい立てて得点を伸ばすか、また別にボーナスカードみたいなのがいっぱいあるんですが、それを集めて得点を伸ばすか、それとも両方のハイブリットを目指すのか。それ以外にもいろんな駆け引きがあって奥深いゲームですよ」
「いや、だから私は……」
「それでこれはブロックス。テトリスのピースみたいなのがいっぱいあって、それを正方形の盤面に並べるんですけど、その時に『角はつながっているけど辺は接していない』状態で並べるんですよ。これは対戦ゲームなので他の人のピースも同じ盤上に並ぶんですが、他の人のピースとは辺を接してもいいですよ。それで、置けなくなるまで並べきった状態で置けなかったピースのマス数が一番少ない人の勝ちです。これもどこで他人の邪魔をしてどこで自分の置きやすい場所を確保するかが難しいゲームですね」
「……」
夕華は、話し出すと止まらない。輝も、これには渋い顔で夕華の出す箱を睨みつけながら、それでも静かに話を聞くしかなかった。
「これは……テケリリってゲームですね。このゲームはトリテ……あ、先輩トリテってわかりますか?トリックテイキングの略なんですけど……まあさすがに知ってますよね。で、テケリリではトリテのなかでも『トリックを取りたくない』ゲームなんですね。なので数の大きい札を持つと不利なんですけど、実は数の大きい札は場に2枚出ると相殺しあってくれたり、取るとボーナスになるカードがあったりするんですね。だから、大きい数をいつ出すか、逆にあえて取るかなんて駆け引きが大事なゲームですよ。……あ、でこれは死ぬまでにピラミットってゲームで、ファラオが亡くなる前にできるだけ大きなピラミットを作るんですが、いつ王が亡くなるかはサイコロの出目とプレーヤーの駆け引き次第なんです。だから、どこまで大きくするか、それともあえて早めに完成させてしまうかの兼ね合いが楽しいチキンレースゲームですね。ところでこのゲーム、なかなか『ピラミット』の定義がガバガバで、『それ本当にピラミットなの?』みたいな形でもOKだったりして、そこも魅力の一つですね。」
「ねえ」
しびれを切らした輝はついに会話を遮った。夕華もさすがに一度話を止めたが、
「どうしました先輩?あ、もしかして遊びたいゲームがないとかですか?でも大丈夫ですよ、まだあるので!」
「いや、そういう話じゃな……」
「これはウボンゴ3Dっていうパズルゲームで、ブロックを積んでボードの形にするゲームですね!一番早くできた人が『ウボンゴ!』と叫びながら砂時計をひっくり返して、その砂時計が落ちるまでに完成した人が成功、そうでなければ失敗になります。頭の体操になりますよ〜?あとヴァイスシュヴァルツっていうアニメのキャラと名場面で戦うカードゲームも持ってきましたよ!さ、先輩、何で遊びます?あ、まあ二人で遊ぶとつまんなかったりそもそも二人では遊べないゲームもありますが、そこはご愛嬌ってことで!」
「ねえ夕華。話聞いてた?私は、今から、帰ろうと、してたのよ?」
輝は赤子に言い聞かせるように、一語一語執拗なまでに間をおいて、さらに皮肉もたっぷり込めて言ったが、夕華はどこ吹く風だった。
「もちろん聞いてましたとも。だからこそかわいい後輩であるところの夕華ちゃんが、ひとりぼっちの教室で寂しく勉強して帰るだけなんていう灰色の大学生活を送る先輩に、彩りを届けに来てあげたんじゃないですかぁ〜」
「なにが寂しくよ、私は好き好んでここにいるのよ、夕華だって知ってるでしょう?」
輝の少し語気を強めた反論に夕華は肩をすくめながら笑い、
「あはは、先輩こわ〜い。でもそんなにムキになるってことは、ちょっとは先輩もさみしいなとは思ってるんじゃないですか?」
「そ、それは……」
輝は、それが図星だとは思わなかった。が、少し思うところがあったのか、少し言い淀む。その歯切れの悪さを、夕華は肯定だと受け取った。
「まあ私だって先輩が好き好んでぼっちでいるのは知ってますけどね。だけど先輩、先輩自身気づいてないかもしれませんけどたまーに寂しそうにしてますよ?」
「う、嘘?!」
輝の少し慌てた様子に夕華はクスッと笑い、
「嘘ですよ」
「ちょっ、夕華?!人をからかうのもいい加減に……」
「でも私は勝手に先輩は寂しがりやさんだと思ってますけどね。なんだかんだで私と遊んでくれますし、その時は楽しそうですし」
「……まあ、楽しくなくは、ないけれど」
「ふふっ。一人が好きだけどすこし寂しがりやさんの先輩、かーわいー」
「なにが『かーわいー』よ、人のことバカにして」
呆れ顔で吐き捨てる輝。夕華はそんな彼女の顔を笑顔で見ながら、
「私、そんなかわいい先輩のこと、すきですよ」
いつもと変わらない調子でそう言った。固まる輝をよそに夕華は、
「なーんて!さ、どれで遊びます?先輩に選ばせてあげますよ!」
と輝を急かす。
私ですら知らない私に自然に踏み込んできて、いつもと変わらない調子で無遠慮に私をかき乱す。やっぱり、夕華は少し苦手だ。夕華に結局付き合わされながら、輝はそう思った。
おはラニエ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/33/2c1eae7f7617d2b9efca84e3481fb68f.png)
あなたの魔法幼女、へくとぱちゃんです。
7/31放課後の活動報告です。今日はサクッといきましょう。
・ストーンエイジ
・ブロックス
・テケリリ
・死ぬまでにピラミッド
・ウボンゴ3D
・ヴァイスシュヴァルツ
あれ……?もうすでに誰かが説明してくれてる……?心当たりないですけどラッキーですね!私は書かなくていいみたい!やったぁ!
お題回収タイム。「好きなお菓子について語る」ですか。
へくとぱちゃん幼女なので当然甘いもの大好きなんですけど、今日はその中でもとくに好きなお菓子についてご紹介しましょう!
皆さん、白濁ロリはご存知でしょうか。
……間違えました、これはへくとぱちゃんによる通称でした。
ブルボンの「ホワイトロリータ」ってご存知でしょうか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/64/6d355fbb037911fc6718a2baf4c03af9.jpg)
はい、これですね。これがまあ超美味しいんですよ。
ただでさえ甘くて美味しい程よい本体にさらに白いモノがコーティングされて本当にもはや蠱惑的な美味しさですよ。
他意はないです。本当に美味しいので食べような。生協とかに売ってたと思うよ。
では、次の人へのお題は1回目のブログならあいも変わらず「自己紹介(ただし自分の好きなボドゲの紹介も含むこと)」、2回目なら以下から一つ以上でお願いします。
・「ガチレズヤンデレキャラとの対話形式でボドゲ紹介をする」
・「『幼い頃に両親を殺され復讐だけを胸に秘めて生きてきたゆえに感情を失っていたが、ボードゲームに触れ遊ぶことで自分の知らない感情が湧き上がってきたことに戸惑う女剣士』のRPでボドゲ紹介をする」
・「SCP-329-J『幽霊のおぉぉ標識ぃいい』のテンションでボドゲ紹介をする」
・「『自分は好きなんだけどあんまり他に聞いてる人見たことないなー』って思うボカロ曲/東方アレンジ/BMS曲のいずれかを紹介する」
・「好きなSCPを紹介する」
・「好きなんだけどあんまりサークルで回ってないボドゲを紹介する」
・「好きなんだけど他に好きな人をあまり見たことがない本/マンガ/ゲーム/アニメを紹介する」
上3つは絶対に回収しないでください。絶対に回収しないでください。
絶対に回収しないでください。
ここまで、あなたの魔法幼女、へくとぱちゃんがお送りしました!
さよラニエ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/33/2c1eae7f7617d2b9efca84e3481fb68f.png)