3月14日はホワイトデーでしたね。バレンタインネタをやったんだからこちらもやらねばってわけで、そんな感じの青春ほろにがストーリーですよ。たぶん。
それはある夏の日の記憶。
自由を奪われた日々。
真夏だというのに薄ら寒い部屋の中で、何とか自分を保つには虚勢を張るしかなかった。
あるとき、それが気に入らなかったのか、あの男は怒り狂い、…その顔面に狂気を宿し近付いてくる。
それは忘れたい記憶。忘れられない記憶。
誰にも言えない、誰にも知られたくない記憶。
…その身体を穢された記憶。
深夜、文楽座瑠璃は
去年の夏の夢を見て目を覚ます。その身体は汗でびっしょりで、顔色は悪い。
「…なんであんな夢見るのよ。」
一人ごちたあと、急にはっとした顔で自分の腹部を触る。
文楽座家居間、刃字忌がコタツの中で寝ていると、静かに瑠璃が入ってくる。
瑠璃にはいつもの荒っぽさはなく、刃字忌をその胸に抱きしめたあとは何も言わない。
刃字忌は瑠璃の呼吸が荒く、心音が早く、何よりその身体が小刻みに震えていることに気づく。
デモンパラサイト第157話「宿りモノ」
今回のシナリオの数日前、3月4日のこと。セラフィムの依頼のなけなしの報酬を頂くため事務所に来ていた。こういう導入のときは碌な目に会わないのだが、今回は…
入ってみると前田さんがいるようである。手には彼女が作ったのであろう破滅的なお菓子がある(日森終了のお知らせ)
ホワイトデーに向けての新作であるらしい、彼女のマシュマロはまるで本当に命を持っているかのように蠢いている。どうぞ食べてくださいなと、マシュマロを進めてくる前田さん。それを必死に相手を傷つけることなくお断りする日森であったが…、支部内に潜んでいた文楽座瑠璃の陰謀によって(人形によるマシュマロを持った特攻)それをおいしく頂いてしまう(衝動副作用1~5段階のフルコースを体験したようで…)
そんな目に会いつつ、そろそろホワイトデーなのかと思う日森であった…
3月14日の朝、文楽座瑠璃はコタツの中で朝を迎えた。腕の中の刃字忌に夜中に起こしてしまったことを詫びつつモゾモゾとコタツから這い出る。
腹部には違和感。このことを家族に悟られるわけにはいかないと思い、いつもどうり振舞おうとする。…が、
刃字忌「(瑠璃、ちょっと太ったかな?でも、そんなこと絶対に言えないよ。)」
茜「(瑠璃姉ぇ、太った?)」
珊瑚「瑠璃、太ったか?お腹が出ているぞ。」
瑪瑙「…というか、今日の姉さんは何か隠し事しているときの姉さんです。」
瑠璃「最近、夜が遅いからちょっとね。てか、瑪瑙ちゃん、別に隠し事とかしてないわよ。何言ってるのよ。」
内心、ドキドキだがちょうどそんなときにジョーさんから依頼の電話が。これ幸いと電話を取り、話を切る。そして、瑪瑙は学校があるので、刃字忌を連れてセラフィムに行くことに。
セラフィムに行くと、他には誰も来ていないようである。9課の方からの依頼なのだが、恵理は他の仕事で忙しく、もう一人呼んでいた東郷もすぐには来れないということ。
依頼は、以前大発生した千香のコピー体に独立して生き残っていたものがいたらしく、小坂各所でその姿が目撃されているようである。犬次郎がいないことにがっかりしつつ、これは人手が要りそうであるし、瑠璃自身、あまり体調も良いので誰か他にも呼ぶことに。
そういえば今日はホワイトデー。あの子達が出会う手伝いをしてあげようということで…
瑠璃「ああ、日森ちゃん。学校が終ったらセラフィムに来なさい。あと、今日はホワイトデーだからそこらへん忘れちゃダメよ。」
日森「わかってますよ。クッキーを作りましたよ。」
瑠璃「留衣ちゃん、元気~?放課後、空いてる?…うん、じゃあ、セラフィムに来なさい。反論は認めないわよ~。」
留衣「…はあ、まあいいですけど。」
瑠璃「朱泉ちゃん。今日はバイトある?…ない。そう、それじゃ放課後セラフィムに来なさい。絶対よ~。」
朱泉「えっ…、あ…、はい、わかりました。」
瑠璃「まあ、こうでもしないとそのままスルーしそうだしね。あの子達は…。…あれ?ジョーさん。そういえば、白石さんにはもうプレゼント渡したの?」
ジョーさん「ッッ!?」
あちゃー…
日森、朱泉、留衣の三人は何故かタイミングよくセラフィムの前で鉢合わせに。それぞれに合わしたラッピングを施したクッキーを手渡す日森。特にどちらが特別というわけではないようで…。
そんな三人をピーピングしている瑠璃にツッコミを入れつつセラフィムの中へ。知覚判定で成功した瑠璃と刃字忌は日森のお腹が少し出ているように感じる。
中で今回の事件について説明した瑠璃は、あとのことを3人と1匹に任せることに。どうやら本格的に気分が悪いようで、パソコンを使った情報収集を少し行ったあと、千香を抱っこしつつソファーに横になってしまう。
日森たち3人は瑠璃のお腹が少し出ていることに気づきつつも、太ったかなどと聞いたら怒られそうなのでコピー体の探索に出て行くのであった。
3人と1匹を送り出したあと、突然立ち上がり、口元を押さえてトイレに駆け込む瑠璃。どうしたのかと、白石さんがトイレに近付き、声かけようとしたところで、中から瑠璃のつぶやく声が聞こえる。
瑠璃「…う、嘘でしょ…、…何で…あんな奴の子なんか…。」
その言葉を聞いて、白石さんは瑠璃が決して語ろうとしない夏の事件を思い出す。その事情を察して、ともかく一度病院に行ってみようと言う白石さんと、必死で誤魔化そうとする瑠璃。
そこに事情の全く知らない東郷。直感から、姉さんに子供ができた(誰とのかは全く考えない)と推測した瑪瑙も登場。セラフィム支部はカオスな状態に…
白石さん「瑠璃ちゃん。落ち着いて一度病院に行って確かめてみましょ。…ね?」
瑪瑙「…で、姉さんはその子を産むんですか?下ろすんですか? というか、どうしてちゃんと言ってくれなかったんですか?」
東郷「…一体、何がどうなっているんだ?」
瑠璃「…ぅえ、…だから…何でもないってぇ…言ってるじゃない…。何でもぉ…ないのよぉ…、…本当に…。」
瑪瑙の執拗かつ、無神経な責めに本気で泣き出してしまい、セラフィムをとび出していく瑠璃。とりあえず瑪瑙は白石さんに黙らされました。
状況を説明してくれという東郷に、瑠璃が去年の夏の一件が原因で子を宿したかもしれないと白石さんは説明するが…
東郷「あいつに限って、そんなことはないだろう。」
こっちも白石さんに黙らされました。当然です。
出て行ってしまった瑠璃は落ち着くまでほっておくとして情報収集を。
警察やパソコンを使った捜査でけっこうな数のコピー体が出現していることがわかる。そして、実地調査をしていた東郷は実際にそのコピー体を発見。目玉が一つの不定形といった様相の生き物で、じっとこちらの挙動を観察しているようである。
とりあえず全員が集まるのを待って、駆除に乗り出すことに。
コピー体自体は非常に弱く簡単に魔種吸引することができたが、日森はコピー体の目の前に来たときに一瞬意識を乗っ取られそうになる感覚に襲われる。おそらく体内の千香コピー体の細胞が反応したのだろうかと思い、警戒しつつもセラフィムに戻ることに。セラフィムに戻った一同は瑠璃の現状について知り、また未だ戻ってきていないので、うかっりコピー体に意識を乗っ取られたりしていないかと心配になる(現在の瑠璃の精神は0に変動しています)
が、電話をかけてみると普通につながり、でも戻ってくるように言うと、嫌と駄々をこねる始末。
瑪瑙が行くとややこしくなることは必至なので、【遠視】を持つ日森と刃字忌が分かれて、日森・朱泉・留衣チーム、刃字忌・東郷チームで瑠璃の捜索を行うことに。ちなみに実は日森のお腹も着々と膨らんできているのだが、【知覚】で気づくのはいつも刃字忌くらい。…あれ、今回は瑠璃と日森二人のお腹が膨らんでてんやわんやの話のはずなんだけどなぁ。
【遠視】によって瑠璃がビルの屋上で三角座りしているのを発見する刃字忌。早速、そこに行ってみると、いつも見られないぐらいにへこんでいる瑠璃が。
東郷はバレンタインのときに瑠璃がばら撒いた義理チョコのお返しにと、32,000円相当の人形を渡す。これにはさすがに高価すぎてちょっと引く瑠璃。
自分のことそっちのけで、私にこんな高価なもの買ってるくらいなら北国にいいものあげろとお説教です。
まあ、それはそれとして刃字忌に一旦セラフィムに戻って、千早病院に行くように説得される瑠璃。瑪瑙からも電話がかかってきて、やっと現実に目を向ける決心がついたのか戻ることにする瑠璃。というわけで、日森たちの方にもその連絡は行き、日森は朱泉・留衣を家まで送ることに…。
しかし、ここで問題が発生。朱泉と留衣の家はちょうど反対方向であり、日森の家はそのどちらの家の方角とも違うのである。どちらを最後まで送っていくか、悩む日森。そして、悩みに悩んだ末、朱泉を家まで送っていくことに。留衣は名残惜しそうに二人と別れ家路につく。
日森と朱泉の間に気まずい空気が流れつつも、ポツポツと話しながら帰路に着く二人。そして、朱泉の家に到着。それじゃあ、また明日といったところで瑠璃から電話が…
そのちょっと前。千早病院。瑪瑙の提案で【物体把握】によって瑠璃のお腹を調べてみたところ、やはり胎内に何か生物がいるようである。これはいよいよと、さらにエコーでお腹の中を調べてみたところ、赤ちゃん大の影が…。
本当に落ち込んでいる瑠璃に、なんとも声をかけられない一同、そして空気を読まずどうするのかと問う瑪瑙。瑠璃はそれに何とか答えようとするが、突然お腹を押さえて苦しみだす。どうやら腹痛がひどいようである。…というか、陣痛?
そして、そのまま出産へ…
千早「無事産まれましたよ。…え~、元気な…人形です(笑)」
一同「…は?」
某さんの解説によると、瑠璃の悪魔憑きとしての成長と体内の千香細胞によって、アリスに続く自我を持つ人形が生まれたのではないかということである(データ的にはサブが8Lvになったことによる【双頭】の追加によって、人形に千香細胞による脳が発生しアリスとは別の自我を持つ人形が生まれた)
新しい人形は千香と同じような色素の薄い髪と青い眼を持ち、瑠璃はマリンと名付けたそうです。ちなみにPLはGHETTAくん。千香の担当が彼とはいえ酷なことをしたもんです。
ともかく、自分の問題は解決したのでそこらへんを知らせるため各所に連絡を入れる瑠璃。
日森「そうですか、問題なかったようで何よりです。…え?…いや、もう帰るところですよ…」
瑠璃の問題は杞憂だったようで安心したのも束の間、日森の頭に昼間とは比べ物にならないような衝撃が走り、意識が飛ぶ。
朱泉「…? ど、どうしたの、日森くん?」
突然苦しみだした日森を助けようとした朱泉は、その日森から一撃を喰らい倒れてしまう。そして、日森はその口から、ちょうど赤ん坊くらいの生き物を産み出し、それとともに去っていく。
ここで、意識を乗っ取られてしまったことを後々後悔することになるのかも知れないが、…それはまた別のお話。
その一部始終を携帯を通して聞いていた瑠璃は、すぐに日森の下に向かうようにと窓から刃字忌を投げ捨て、自分も出ようとするがその身体にマリンの髪の毛が絡みつく。
マリン「…ダメ。…イカセナイ。」
部屋いっぱいに広がった髪の毛によって、分娩室にいたセラフィムのメンバーは足止めをされてしまう。しょうがないので、東郷や留衣に電話をかける瑠璃。
倒れている朱泉の元に、刃字忌、留衣、東郷が集まり、日森の足取りをたどる。どうやら、昼間と同じようにコピー体に呼ばれ、意識を乗っ取られてしまったようだ。そして、下水道にて日森とコピー体の本体と思しき生き物を発見する。先ほど産み出した生物にか、コピー体にか意識を奪われている日森も敵に回し戦うことに。コピー体の本体は、その分体の見てきた能力を合体することによって使用することができるのだが(データ的には完全ランダムに能力取得)、いい能力に恵まれず…。日森も、彼を助けるために9LVへと成長した留衣の【斬糸生成】によってほぼ封殺。何とか、一連の騒動は解決したのでした。
(日森の場合は成長によって【陽炎分身】を取得したのだが、千香細胞によって分身が生成され、それが更にコピー体によって乗っ取られたんじゃないって某が言ってた。ちなみにマリンは【双頭】【自我】よって乗っ取られることはなかったもよう。…でも、同族を助けるため瑠璃の足止めをしたみたいで。)
日森の無事も確認しセラフィムに戻る朱泉と刃字忌。そこには瑠璃が。どうやら、結局、ホワイトデーに犬次郎が来なかったことで不貞腐れているようである。そして、瑠璃の絡み酒。
東郷はさっさと帰ってしまったので、二人きりの日森と留衣。日森の服がないので、すぐ近くの留衣の家に行くことに。
日森「今日は…ほんとありがとう。」
留衣「ううん、気にしないで。ほら、ピンチになったら助けるのが…あ~…」
日森「…?」
留衣「…うん。ほら、あれ、仲間だよね。…あははは。」
留衣「えと、お返し…ありがとう。…本当に…うれしかった。」
そして、セラフィム(現在、地獄絵図)に戻る二人。
瑠璃「ね~え~、何でぇ、ケンちゃん来てくれないのよぉ~。」(朱泉に甘えつつ)
朱泉「…えと、それは…あたしに言われても…。」
刃字忌「ッは!!そうだ、僕も瑠璃にバレンタインプレゼントあげないと!! あ、あそこにマシュマロがある。とりあえずこれで!!」
そのマシュマロは前田さん謹製な…わけで。