天使と悪魔
2009年/アメリカ
ノンストップ・ミステリーを観光気分で楽しむ
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 80点
演出 80点
ビジュアル 85点
音楽 85点
ダン・ブラウンのベストセラー「ダビンチ・コード」シリーズをロン・ハワード監督が再度手掛けた話題作。続編といっても原作はこの作品のほうが先だったので前作を観ていなくても充分楽しめる。
ヴァチカンでの教皇選びの最中、400年前の秘密結社・イルミナティが有力候補4人を誘拐。8時から1時間毎に一人づつ殺害すると予告。さらにスイスから盗んだ<反物質>でヴァチカンを爆破される危機。この危機を救うためハーバード大ラングドン教授(トム・ハンクス)とスイスの科学者ヴィットリア(アイェレット・ゾラー)がロマ市内を奔走する。
宗教と科学の対立を背景にガリレオの「真実の図表」がキーワードとして進行するが、歴史ミステリーというよりノンストップ・エンターテイメント作品。おまけにローマの名所・旧跡を辿り、観光気分に浸れる。
ヴァチカンの撮影許可は限られるなか、セットとCGを駆使した映像美は遜色ない素晴らしさ。ハンス・ジマーの音楽とともに重厚さを失っていない。
T・ハンクスは探偵のように謎を解き、目まぐるしく市内を駆け回って事件を追い、とても爽快な気分にしてくれる。共演のA・ゾラーはアシスタント役の域を出ず、活躍の場がなくて気の毒だった。
盛り上げてくれたのはカメルレンゴ(法王代行)のユアン・マクレガー、ヴァチカン親衛隊長ステラン・スカルズガルド、コンクラーベ(教皇選考)進行枢機卿のアーミン・ミューラー=スタールなど個性的な俳優たち。荒唐無稽なところもあるが、あら捜しをせず138分の長さを感じさせないテンポに流れを委ね、面白さを堪能したい。