・ 難産だったS・ペキンパー大作初演出の西部劇。
ハリー・ジュリアン・フィンク原作を詩情豊かなバイオレンスの巨匠といわれたサム・ペキンパーが共同脚本化・演出した大作デビュー作品。
南北戦争最中の北軍ヘンリン砦。ヘンリー少佐が混成部隊を引き連れ、命令なしのアパッチ族チャリバ追討のためメキシコ国境へ向かう物語。
ヘンリー少佐に扮したチャールトン・ヘストンと捕虜の南軍大尉タイリーン役のリチャード・ハリス競演が最大の見どころだ。
序盤は軍服を身に纏った颯爽としたダンディが、部下だけでなく民兵や南軍捕虜など出仕や人種も様々な隊を強烈なリーダーシップで隊を率いていくさまが描かれる。
ところが中盤メキシコ国境を越え逃げ込んだチャリバを追い、自由メキシコ軍と対立中の仏軍駐屯の村で滞在するあたりから空模様が怪しくなってくる。
期間限定で副官として任務を全うしていたかつての親友でダンディに恨みを持つタイリーンが本来の軍人らしくみえてくる。
村に滞在していた独軍女医テレサ(センタ・バーガー)に軍人として振る舞うタイリーンに対し、恋に溺れて行くダンディ。
南軍兵士ハドリー(ウォーレン・ハーツ)脱走の対処で、助命を嘆願したタイリーンを却下したダンディは軍からも見放されて行く・・・。
ペキンパー演出は随所に見せ場はあるもののテンポがバラバラでストーリーも散漫。
原因は予算オーバーでプロデューサーと衝突、編集権を剥奪され152分の作品を123分にされてしまったのが最大の要因とか。
混成部隊リーダーの苦悩ぶりを描いたつもりが傲慢な人物描写に見えてしまい美味しいところはタイリーンに持って行かれてしまった。
4年後の復帰作「ワイルド・バンチ」(69)で評判のスローモーションカットもなく、残酷なシーンも控えめ。
ミッチー・ミラー合唱団の勇ましい歌声でスタートした本作。難産の末公開会されたが、リーダーの苦悩ぶりが狙い通り描ききれなかった感はいなめない。
ジム・ハットン、ジェームズ・コバーン、マイケル・アンダーソン・Jr.ベン・ジョンソンなど脇を固めるお馴染みの俳優たちもそれぞれ頑張ってはいるが、最後までR・ハリスのダンディさ!?が際立って奮闘したC・ヘストンには気の毒な作品となてしまった。
152分のディレクター・カット版を観れば違った印象があるのかもしれないが、残念ながらチャンスはなさそうだ。