晴れ、ときどき映画三昧

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「戦う幌馬車」(67・米)70点

2020-10-09 18:14:11 | 外国映画 1960~79


 ・ ニューシネマ元年に公開されたJ・ウェイン、K・ダグラスの2大スターによるエンタメ西部劇。


 闘病中ながら元気な姿を魅せているジョン・ウェインとカーク・ダグラスの二大スターが共演したユーモア溢れるアクション西部劇。クレア・ハフェイカー原作・脚本で、「続・荒野の七人」(66)のバート・ケネディ監督で映画化。原題は「THE WAR WAGON」。

 ニューメキシコの故郷エメットへ戻ってきたトゥ・ジャクソン(J・ウェイン)は無実の罪で投獄されていた。自分をハメたピアース(ブルース・キャボット)に奪われた土地と金鉱を取り戻すためだった。
 ピアースは流れ者のガンマン・ロマックス(K・ダグラス)に1万ドルの報酬でトゥ殺しを勧誘するが、快諾は得られなかった。彼はその前にピアースが50万ドルの砂金を運ぶ装甲馬車を襲撃する誘いをトゥから受けていた。
 トゥは先住民のリーヴァイ(ハワード・キール)、爆破の天才ビリー(ロバート・ウォーカーJr)、御者で金の亡者フレッチャー(キーナン・ウィン)を仲間に加えた5人で、カトリング銃を備えた装甲馬車と大勢の護衛がいる相手からどう砂金を奪おうとするのか?・・・。

 「マッド・マックス 怒りのデスロード」がお手本にしたという装甲馬車の疾走シーンと二大俳優の共演が見どころの娯楽アクション西部劇。ディミトリ・ティオムキンのタイトルバック音楽で始まり、ウィリアム・H・クローシア撮影の雄大なニューメキシコの風景で繰り広げられる勧善懲悪のドラマ展開は、残酷なシーンもなくユーモアも交えイタリア西部劇に奪われた本家の意地が感じられる。

 J・ウェインは病後で派手なアクションはないものの、お馴染みの酒場での派手な殴り合いでは健在ぶりを発揮し、くせ者揃いの仲間を取り纏めるリーダーを楽しそうに演じている。
 K・ダグラスは金にはドライだが女にモテるダンディなガンマンで颯爽と馬に飛び乗りアクションで存在感を魅せ、最後にコミカルなシーンまでサービスしてくれる。
 10歳違いのコンビはなかなか息が合っていた。
 
 飲んだくれで爆破の天才ビリーを演じたのはR・ウォーカーJr。「黄昏」「終着駅」「慕情」など50年代メロドラマの大女優ジェニファー・ジョーンズの長男だが、残念ながら大成しなかった。その後人気TVドラマでよくゲスト出演していたのを思い出す。本作では御者の若い妻ケイト(ヴァローラ・ノーランド)と結ばれハッピー・エンドとなる。彼にとって最も印象に残る映画作品だ。

 本作が公開されたのはニューシネマ元年で「俺たちに明日はない」や「イージー・ライダー」の話題で席巻された年。今観ると中国人女性や先住民・メキシコ人の扱いが類型的で一昔前の娯楽映画の風評は否めない。

 それでも御大J・ウェインが元気な姿で銀幕に再登場してくれたのを観ることができたのは嬉しい限りだ。