荒馬と女
1961年/アメリカ
映画史に残るいわく付きの作品
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 90点
演出 75点
ビジュアル 85点
音楽 75点
劇作家アーサー・ミラーが自身の短編「野生馬狩り」を、妻マリリン・モンローのために脚色した。評価は芳しくないが、M・モンロー最後の映画であり、クラーク・ゲーブルの遺作としても映画史に残るいわく付きの作品である。
近代化にともない取り残された人間の悲哀を描くのが得意なA・ミラーらしく、ネバダ州リノで繰り広げる離婚した女を巡るカウボーイ3人の物語。
原作にロズリン(M・モンロー)を加えたのは離婚間近のモンロー自身を投影しているとしか思えないキャラクター。初老のゲイ(C・ゲーブル)に「眩しいくらい美しく、トキドキひどく哀しそう」と言わせたり、若いバース(モンゴメリー・クリフト)に「誰を信じているのか?」と訊かれ「わからない。ただいつも明日起きることに期待している。誰かに頼ったりしない」と返したりする台詞は彼女を良く知るA・ミラーならでは。
C・ゲーブルは、「風と共に去りぬ」で一世を風靡したかつての2枚目俳優。その後20年経って衰えは否めないものの時代に逆らいながらカウボーイを続けるプレイボーイ振りは適役。野生馬との格闘シーンは最大の見せ場だった。吹き替えなしのこのシーンが祟って撮影終了10日後心臓発作で亡くなったのも話題になった。
3大スターの競演を懐かしく偲ぶ作品である。