あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

瀬戸内シーカヤック日記: 周防大島、お花見ツーリング(1)_宮本常一

2009年04月05日 | 旅するシーカヤック
2009年4月4日(土) 今日は、曇りで日中は雨、明日は曇りの予報。 さあて、どこに行くかな?
いつものように、土曜日の朝5時は、週末の行き先を決める大事な時間帯である。 PCで、ありとあらゆる最新の気象情報を集め、今までの経験や知識と照らし合わせて、目的地を決める。

ようし、この週末は周防大島だ! ちょうど、お花見ツーリングが楽しめるだろう。
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土曜日の朝8時頃。 今日は少し遅めの出発である。
ニヤックと道具一式は前日に積み込んであり、カメラと貴重品を準備すると出発だ。 『じゃあ、周防大島に行ってくるよ。 今日は車中泊だ』と妻に告げる。 『忘れ物はない? じゃあ、気をつけて』

雨の中、特に渋滞もなく下道をひた走り、予定通りに周防大島に到着。 あいにくの雨だが、ここ周防大島では桜が満開だ。

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11時。 少し早いが、朝ご飯のトーストとスープは5時だったので、お腹が空いた。 お昼ご飯にしよう。
最近見つけた、お気に入りの喫茶店に入り、ランチを注文。
 
これだけの品数と質で、なんと料金は500円! おどろきの安さである。
『ごちそうさまでした。 あの、芋のデザートのようなのは何ですか?』 『あのスプーンが付いていたのですか?』
『はい』 『あれは、芋のプリンです』 『なるほど、初めて食べました。 本当にごちそうさまでした。 全部おいしかったです』 『そうですか。 ありがとうございます』
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今日は、予報に反して昼からも雨が続いている。 予定を変更して、東和町の宮本常一の資料が展示してある施設を訪れた。
ここは、これまで何度も通っている場所。 今日はたっぷり時間があるので、ゆっくりと資料をめくってみるか。
 
今の展示は、昭和38年頃に宮本常一が写した写真。 ちょうど私が生まれた頃である。 
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雨の周防大島。 誰も居ない静かな資料室のテーブルに座り、資料を探索。 なかなか良い時間である。

『あるくみるきく』の雑誌も、興味のあるタイトルを選んで、ゆっくりとページを開く。
 
1970年代半ばに、カナディアンカヌーでユーコン川を下った記録を発見。 うーん、やっぱり『あるくみるきく』は、スゴい雑誌である。
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宮本常一の様々な著作にも、今日はゆっくりと目を通してみた。


*** 以下、引用 ***
『本来旅というものは、何のためにするのかということになりますと、自分の目で物を確かめてみる、そういうことのために、旅があるはずなのであります。 それでなければ、旅をする必要はないのであります。 旅をするということは、自分の目で物を確かめることですが、それが今日の旅をみますと、必ずしもそうではない。 例えばガイドブックというものがありまして、そのガイドブックを持ってどこかへ行く。 で、ガイドブックを読んでおって、『ああ、そうか』、それですべてが終わったような顔をして帰ってくるというのが、今日の観光旅行であるのです。 これは、実におかしい話だと思うのです』

*私の『あるくみるきく』の海旅も、できるだけ他のシーカヤッカーが行った事がない所、他のシーカヤッカーががまだゆっくりと地元の方々の話を聞いていない所を開拓したいという思いで取り組んでいる。 まさに、『人の見残した所を見よ』である。

風来坊の役割
『それではどうして風来坊が生まれてきたのであろうか。 一口に言ってその生きて来た社会に容れられないというか、そこで生きて行く上に息苦しいものをおぼえたことが一番大きな原因になっているように思う。 (中略) 風来坊というのは、一種の根なし草であるが、人が人を信頼することによって村の中に存在を許されていたのである。 (中略) そして風来坊はそれぞれ何かすぐれたものをもっていた。 そういうことも村人にとっては魅力があったのであろう』

*私がなりたいと思う人の代表は、『フーテンの寅さん』である。 ああ、風来坊。 なんと魅力的な存在であろうか。

澁沢敬三先生
『渋沢先生が海や島へ深い関心を持つようになったのは、大正八年十二月の瀬戸内カッター旅行だったようである。 当時江田島の海軍兵学校に山崎貞直という海軍大尉が教官をしており、その人をよく知っていたことから江田島を訪れ、五人の友人と共にカッター旅行をしている。 江田島湾を出て倉橋島本浦にゆき、高浜へ船をつけて道後にあそび、さらに高浜にかえって中島、猫瀬戸、音戸瀬戸、呉の宮島沖を経て江田島に帰っている』

*今回最大の発見が、この渋沢敬三のカッター旅の話である。 なんと、あの渋沢敬三が海の文化に興味を持ったきっかけが、私の地元の呉や江田島から四国松山を往復したカッター旅行だっととは! 瀬戸内を旅するシーカヤッカーとしては、こんな嬉しいことはない。
雨の周防大島。 ゆっくりと資料をめくった事で、すばらしい発見をすることができた。 これも縁であろう。

*** 引用終わり ***

いやあ、やっぱり宮本常一はスゴい人である。 私も、あんな旅をしてみたいものだ。
私の旅の記録

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資料館で2時間を超す貴重な時間を過ごした後は、竜崎温泉にゆっくりと浸かる。 地元のスーパーで夕食とビールを買い出し、片添えの浜へ。
今日は、車中泊。 明日は千本桜沿いにツーリングの予定だ。 雨が上がってくれると良いなあ。 
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